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“笑いも止まらない”ホークス工藤公康。あの杉内俊哉をマネる「ショートスターター」とは?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/09/05 09:00
8月27日のオリックス戦で5回1失点、先発初勝利を挙げたソフトバンクの左腕・笠谷。
短いイニングの中で、先を考えずに1人1人に向かっていき、アウトを重ねる中で自信を上積みしていく。
「自信というのは、投げて抑えて、初めて身につくものです。1人ずつアウトに取っていく。地道と言っていいのか分からないけど、それをやってきた結果が今です。彼は自信を持ってくれていい。登板までのあいだもいい調整をしてくれているし、これからイニングを伸ばせるように」
育てながら勝つ。
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プロ野球やスポーツに限らずどんな業界であれ最高の理想形を、工藤監督は成し遂げたのだ。笑いも止まらないはずだ。
そんな期待をプレッシャーではなく、力に変えてマウンドに立つ笠谷もまた頼もしい。
あの杉内をマネて……。
ところで、笠谷の投げ方、どこかで見たことがある。
実はプロ入り当初はワインドアップ投法だったが、かつてのホークスのエースである杉内俊哉を真似て今のフォームに辿りついた。投げる前に左手を高く上げるのはそのためだ。
また、オフの自主トレは4年連続で和田毅に弟子入りして行っている。ホークスのファンにとっては夢膨らむサウスポーの融合が、笠谷という投手によって実現されようとしているのだ。
「和田さんと先発で2連勝とかしてみたいです」
ぜひとも尊敬する先輩のように息の長い投手に育ってほしい。笠谷も和田と同じ早生まれだ。「ある程度年齢がいくと、早生まれって得なんですよ」。10年以上先の未来で、和田と同じセリフを言って笑っている笠谷に会いたい。