野ボール横丁BACK NUMBER
2020年甲子園の2大流行アイテムは、
白スパイクとベージュのグラブ。
posted2020/08/24 08:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Naoya Sanuki
甲子園後の恒例企画と言えば、「ホームランバット全リスト」だが、今年の交流試合は、16試合でランニングホームランを含む3本しか生まれなかった。昨年は1試合あたりちょうど1本出て、トータルで48本になった。今年のペースで例年通り48試合行われていたとしたら9本にしかならなかった計算になる。異例の少なさだ。
分析するにはあまりにもデータが少ないので、今回は、同企画は見送ることとした。同コーナーで毎度お馴染みの野球専門店・ベースマン立川店のカリスマ店長で、「野球用具ソムリエ」の異名を持つ星徹弥さんはホームランが極端に減少した理由をこう話す。
「うちの店にくる選手に聞くと、今年は、本当に練習できていなかったそうですから。ホームランが少なかったのは練習不足がいちばんでしょうね。あとは、無観客なので、お客さんの応援の力も得られなかった。
そんな中、バット戦線はこの夏も大きな変化はありませんでした。ミズノの『Vコング02』と、エスエスケイの『スカイビート31K』。この2強は、やはり揺るぎない。
大阪桐蔭の選手なんかは昨年の秋ごろは、新しいバットを試していたんですけどね。夏は、また戻っていました。試合自体もできず、新しいバットを試す期間がなかったのでしょうね」
話題の白スパイクは店頭では売れず?
今年、道具でもっとも話題になったのは白いスパイクだ。さまざまな記事によると黒いスパイクに比べ、表面温度やシューズ内温度は約10度も低くなるそうだ。ただ、あれだけ話題になったにもかかわらず、星さんいわく店頭ではほとんど売れてないそうだ。
「他の選手が黒いスパイクを履いてる中、まだ買いにくいんだと思います。下級生は特にそうですよね。チームでスパイクの色を統一しなければいけないという規則はないんです。でも甲子園では、どのチームもどちらかの色でそろえていましたからね。見た目の問題もあって、甲子園ではそういう暗黙の了解があるのではないでしょうか。
なので監督が、うちはこれから白いスパイクにすると言えばいいんでしょうけど、親御さんにまた負担をかけることになるので、それも言いにくい。甲子園に出るようなチームならまだしも、それ以外で白に変更するチームはほとんどいないのが現状です」