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2020年甲子園の2大流行アイテムは、
白スパイクとベージュのグラブ。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/08/24 08:00

2020年甲子園の2大流行アイテムは、白スパイクとベージュのグラブ。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

大阪桐蔭の白スパイク&ベージュのグラブはまさに2020年風。強い学校のスタイルは流行になるので、全国に波及しそうだ。

手袋もスパイクも黒か白以外は禁止。

 熱中症対策になるなど白スパイクはいいことずくめにも思えるが、交流試合では32校中、半分に満たない14校にとどまった。その理由を星さんが語る。

「この夏、白に変えると、新チームでも、また全員、白に変えないといけないじゃないですか。また黒に戻すにせよ、せっかくの白スパイクが無駄になる。なので、黒スパイクのままの方が圧倒的に楽なんです。

 あと、真っ白はやはり汚れが目立つ。最近はヌバック調の素材も目立ちますが、白のヌバックだと汚れが落ちない。高校野球は土のグラウンドが大半なので、白は実用的ではありません。2色、3色使っていいのなら、白スパイクも普及すると思うんですけどね。

 そもそもバッティング手袋もスパイクも真っ黒か真っ白じゃないといけないというのがおかしいんですよ。おそらくメーカーのマークが目立つからということなのでしょうけど、グラブやバットにはメーカーロゴがしっかり入っていますからね。野球人気の低下が叫ばれる中、高校野球も変わろうとしているのはわかるのですが、そのペースが世間一般の感覚からすると恐ろしく遅い……」

各メーカーが一気に出したベージュのグラブ。

 この夏、白スパイク同様、ニューカラーとして注目を集めたのはベージュ色のグラブだ。星さんが説明する。

「高校野球は使用できるグラブの色が決まっていて、基本的に、赤や青といった派手目の色はNGです。新しい色のグラブをつくるときは、高野連に許可を得なければいけません。

 業界ではクリーム色とかキャメルと呼ばれる今回のニューカラーはローリングスが最初に申請し、OKをもらったんです。もともとメジャーでは伝統のある色で、草野球などでは人気があった。ローリングスはキャメルを選抜大会でお披露目する予定でした。ところが選抜がなくなり、その間に各社とも似たような色を相次いで商品化した。

 今回、珍しかったのは、どのメーカーも追随したことです。普通、様子を見てから……というケースが多いんですよ。流行るかどうかわからないので。ちなみに各メーカーごとに色の呼び方が異なっていて、ミズノはブロンド、ゼットはパステルブラウン、スラッガーはトレンチです。業界全体で『流行らせなければ』という意思のようなものを感じましたね」

【次ページ】 田中将大の黄色、その後は赤が流行った。

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