令和の野球探訪BACK NUMBER
柳田悠岐を彷彿とさせる注目の大器。
Y校復活へ投打で鍵を握る笹川吉康。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2020/08/12 07:00
横浜商業高校の充実した環境で力をつけてきた笹川。9日の県大会でホームランを放ち、高校通算40本に達した。
花木トレーナー「力の出し方が上手い」
「力の出し方が上手い。持ってる筋力を使いこなしている」と話すのはスポーツマネジメント科が2014年から設置されている横浜商業高校のストレングストレーナーを務める花木祐真氏だ。花木氏らが常駐する広いトレーニングルームがあり、野球部のスタッフも総勢15人(非常勤含む)いるなど、公立校(市立校)とは思えない充実の環境が整う。
その中で入学時は68kgだった体重は今や86kgにパワーアップ。高校1年の時は1本だった本塁打は、9日の神奈川大会初戦で横浜スタジアム右翼席に飛び込む本塁打で今や通算40本に到達した。
小嶋一紀監督は「スイングが強くて、中途半端なスイングがない。だから凡打でも納得するんです」と1年時から外野手のレギュラーとして起用を続けてきた。当初は「体幹の強さがないからブレてミスショットが多かった」と振り返るが、今では「食事とウェイトトレーニングの意識が上がって人の2、3倍努力するようになりました」と目を細めている。
「両方好きなので、二刀流で」
また構えも大きくした。「後ろを大きくして(割れを作り)、バットの軌道をアッパー、V字のイメージに変えました。バットの軌道を変えると、打率も上がりました」と、恵まれた体格を存分に生かした現在の打撃が完成していったという。
投手としても140km近いストレートを投げるが、プロの評価は野手としての方が高い。それでも笹川は「両方大好きなので、二刀流でやっていきます。どちらもまだまだ伸びる気がしています。ピッチャーとしては、バッターが“ストレートが来る”と分かっていても、打たれないストレートを投げられれば良いなと思います」と語り、小嶋監督も「投手としても計り知れないものがあるとおもいます」と期待をかける。