濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
橋本真也が作ったものを守るため……。
ZERO1“熱いプロレス”で起死回生へ!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNORIHIRO HASHIMOTO
posted2020/07/27 08:00
大谷晋二郎(写真右)の激しい戦いぶりが胸に迫る……とにかくストレートに熱いプロレスが見られるZERO1。“破壊王イズム”は、どんな観客にも届く魅力に溢れている。
大谷「“破壊王イズム”を伝えていきたい」
若い選手が育っている一方で大谷は、自分や田中将斗といったベテランの役割として「“破壊王イズム”を伝えていきたい」と言う。
今のZERO1では、橋本と試合で絡んだ経験のある選手が少なくなった。だからこそ守り、残していくことをより意識している。
「僕は何年たっても、橋本真也が作ったZERO1を守りたいんですよ。どれだけプロレスが新しくなっても、僕は橋本真也が作ったZERO1を守り続ける男でありたい。その気持ちは変わらないですね。
でも僕はあの人の性格もよく分かってるんで。“お前まだやってんのか?”って言われるんじゃないかな(笑)。でも勝手にですけど、僕はあの人に任されてると思ってる。
橋本真也が作ったものをなくしちゃいけない。橋本真也が背負ってるプロレスというものが、今でもあるんですよ」
大衆娯楽スポーツの根源を感じさせるZERO1。
橋本の時代から続くZERO1の魅力の1つに地方大会がある。巨大で屈強な体躯を誇る“ガイジン”レスラーと、彼らに立ち向かう日本勢。シンプルだからこそ見ていて力が入る攻防、そして何度やられても立ち上がる姿。
もう何年も前だが、筆者が地元の茨城でZERO1の大会を訪れた時には、生まれて初めてプロレスを生で見たであろう子供たちが夢中になっていた。ZERO1のプロレスが持つ“熱さ”とは、つまり大衆娯楽スポーツの根源ではないか。それはこれからも大きな武器になりうるはずだ。
来年3月14日、ZERO1は20周年記念として久しぶりに両国国技館大会を開催する。そのタイトルは、ズバリ『プロレス』である。