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藤井聡太、棋聖戦第2局で“芸術的一手”再び?
史上最年少タイトルに王手なるか。
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNanae Suzuki
posted2020/06/27 20:00
もう1つのタイトル戦「王位戦」でも挑戦権を獲得した藤井七段。この夏には、肩書が「二冠」になる可能性がある。
将棋の藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(棋王・王将=36)に挑戦する第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局が6月28日に行われる。
8日に行われた第1局は、藤井七段が157手の大熱戦を制している。
今回の棋聖戦は、挑戦者決定戦で藤井七段が指した62手目「2七銀」に対して、解説者の飯島栄治七段が思わずもらした「いやあ、鳥肌が立ちます。この将棋は、善悪を超えた芸術作品だと思います」という言葉が話題となるなかで始まった。
藤井七段の将棋の芸術性について、飯島七段はNumber Webの記事「藤井聡太の将棋はどこが美しいのか。『芸術作品』と評す飯島七段に聞く」のなかでこう解説している。
「将棋は9×9の81マスを舞台に、2人で40枚の駒を使って戦うゲームですが、プロ棋士でも、全てのマスと駒を有効に使いきれない人は実は結構いるんです。
藤井さんは全部の駒を綺麗に使う。永瀬戦の『2七銀成』という手は正にその象徴です」
第1局では飯島七段が芸術性を感じるもう1つの理由という「終盤の正確さ」を見せつけた。渡辺棋聖による16手連続にもおよぶ王手をかいくぐり、見事に勝利をあげた。
23日には永瀬拓矢二冠(27)に勝利し、棋聖戦と同じく8大タイトル戦の1つ、王位戦の挑戦者にも名乗りを上げた。木村一基王位(47)との七番勝負は7月1日から始まり、藤井七段は2つのタイトル戦を同時に戦うこととなる。
25日には順位戦(B級2組)で、2017年にプロデビューからの記録「30連勝」を阻止された佐々木勇気七段に快勝、好調を維持している。
藤井七段は、勝てば「史上最年少でタイトル獲得」に王手がかかる棋聖戦第2局でも“芸術的一手”を披露するか。
注目の対局は、東京・千駄ヶ谷の「将棋会館」で28日午前9時に開始される。