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岩渕真奈が五輪延期より残念なこと。
「海外の話を全部断りました」
posted2020/06/27 11:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
あらためて言うまでもないが、東京五輪が1年間延期された。
慌ただしく日々を過ごし、1年なんてあっという間だと感じる人もいるだろう。もしかすると、五輪に関わるスタッフにとってすら、そうなのかもしれない。五輪に深く関わる人であればあるほど、調整とプラスアルファに追われて、息つく間もなく2021年の夏を迎えるはずだ。
だが、選手にとってはどうだろうか。アスリートにとって、現役で勝負できる期間は限られている。まして、自他共に認める最高の状態までメンタルもフィジカルも高めきった状態など、そう長く続けられるものではない。
緊張の糸は、張り詰めた分だけ緩める時間が必要だ。アスリートにとっての1年間の価値は、想像以上に大きい。
岩渕真奈も、今年の夏の東京五輪にかけていた1人だった。
2011年のW杯優勝、2012年のロンドン五輪準優勝を経験し、2016年にはリオ五輪予選敗退も経験した。その雪辱を果たすために、27歳という選手として絶好のタイミングで迎える東京五輪に照準を合わせてきた。
個人としても、2017年3月にドイツの名門バイエルン・ミュンヘンを退団し、日本のINAC神戸でのプレーを選択している。その決断には、代表の活動に合流しやすいという要素も少なからず存在した。
大きな目標にしていた五輪の延期について岩渕はいまどう思っているのか、まだ緊急事態宣言も解けていない5月上旬に本人に話を聞くことができた。
――東京五輪が延期になりましたね。
「自分の中でも色々なことをオリンピックを軸に考えていた部分があったから、正直そのプランが崩れたというか、自分の未来も変わりました。小学2年生で始めて以来、今が一番サッカーと距離がありますね。気持ちもそうだし、身体的にも今は結構な距離を感じています」
――こちらも、言葉が見つかりません。
「でも、大変っていうほどではないんですよ。オリンピックは延期かー、って思った程度ですし。それよりも、まずリーグ戦再開に向けて準備しなきゃいけないけど、再開予定日が何回も延びましたよね。正直、7月開幕なら今はまだやらなくていいだろうなと思うけど(笑)、クラブからはメニューが来ますから。なんか、自分のペースじゃないなと思います」
――モチベーションを保つことが難しそうです。
「そうですね……」
――リーグ戦ですが、五輪が延期になってモチベーションを保つのが難しいという話は他の選手からも聞きました。
「わかります、そうだと思いますよ。スポーツって年齢の影響が大きくて、27歳の自分で多分ギリくらい……って言ったら上の人に申し訳ないけど、やっぱ1年の違いって大きいですよね。
自分の場合、27歳でオリンピックがあるってわかったのが22か23の時でした。27歳というのは選手として一番良い時期だと思いながら準備してきました。でも、もっと年齢を重ねてて今回のオリンピックを最後にしようと思ってた選手も絶対いる。そういう人たちは自分なんかより大変だろうなと思いますね」