熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
若きカズの戦友はブラジルの代理人。
橋本幸一が得た海外サバイバル術。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKoichi Hashimoto
posted2020/06/23 19:00
元ブラジル代表ゼ・エリアスと写真に収まる橋本幸一氏。ブラジルの地で日本サッカーに貢献しようとしている。
ダニエウ・アウベスの兄ともプレー。
ほどなく故障が癒え、州選手権などに出場。チームメイトにネイという選手がいたが、その弟で前年までこのクラブの下部組織にいたのが、後にセビージャ、バルセロナなどで活躍し、ブラジル代表の一員として2014年W杯に出場した右SBダニエル・アウベス(現サンパウロFC)である。
幸一はジュアゼイロで好調で、2001年、南部の中堅クラブ、パラナから声がかかった。1989年にカズが在籍したコリチーバのライバルクラブである。
パラナでは、州選手権などに準レギュラーとして出場。さらにブラジル北東部の二クラブでプレーした後、2002年6月に引退した。
その後、FIFA公認のエージェント資格を取り、現在はブラジルと日本を行き来しながら、主としてブラジル人選手を日本や中国などのクラブへ紹介している。
これまで移籍を手掛けた選手に、FWアラウージョ(元清水エスパルス、ガンバ大阪)、FWジャメーリ(元柏レイソル、清水エスパルス)、マルシオ・アラウージョ(元柏レイソル)らがいる。
「お前はいい代理人になれるよ」と。
――波乱万丈のキャリアを振り返って思うことは?
「ブラジルではカズさんと出会い、名門コリンチャンスの空気を吸い、多くのクラブでプレーできた。試合には相当出場して、アシストもかなり決めたけど、実は1点も取れなかった(笑)。パスを出して味方に点を取らせるのが好きで、裏方が性に合っている。だから、今も代理人という選手を引き立てる仕事をしている(笑)」
――代理人になった経緯は?
「引退後、身の振り方をコリンチャンス時代のチームメイトに相談したところ、『お前はいい代理人になれるよ』と言われた。それで資格を取り、日本で会社を設立してこの仕事を始めた。
現役時代を通じて多くの知人や友人ができ、彼らは世界中に散らばってフットボールの世界で働いている。この人脈が今、この仕事をする上でとても大きな財産となっている」