野球のぼせもんBACK NUMBER
ホークスの先発、空席はあと3つ。
12年目・二保旭を推したい理由。
posted2020/06/11 11:40
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
プロ野球開幕がもうすぐそこに迫ってきている。だが、今月8日の時点で、ホークスは6人の先発ローテーション投手のうち3人しか決まっていなかった。工藤公康監督がその日のオンライン取材で明かしたのだ。
6月19日の開幕投手は東浜巨と公表されている。明言されていないあと2人は報道情報を整理すると、新外国人のムーアとベテラン和田毅の両左腕であることが有力だ。
「(8日の月曜日の段階から)あと2、3日のあいだに選手本人たちには伝えたい」(工藤監督)
遡ること3月、元来の開幕ローテは比較的すんなりと決まっていた。上記の3投手に加えてバンデンハークと石川柊太が確定。もう1枠を二保旭と松本裕樹が争っていたが、6年目の松本がオープン戦中に自己最速を次々と塗り替えて153キロに到達し、登板の結果も文句なしで優勢だった。
高橋礼が参戦し、二保が厳しい立場に。
開幕が約3カ月遅れた今、それが決まらないのは誰かの不調や故障ではなく、高橋礼がその争いに加わったからだ。
昨季、パ・リーグで6名だけがクリアした規定投球回に到達し、12勝を挙げて新人王を獲得。侍ジャパンの一員としてもプレミア12の優勝にも貢献したサブマリン右腕だ。
今年2月の宮崎キャンプ中に左太もも裏を痛めて調整が大きく遅れていたが、この延期期間のおかげですっかり回復。6月4日の練習試合・バファローズ戦(京セラドーム)では2番手で登板し、4回を57球で投げきり1安打1失点と好投した。
本人は「まだ上半身に頼った投げ方をしていて、下半身が使えていない」と不満げだが、実績やフォームの特殊性のメリットを考慮すれば、最終直線で一気の伸び脚を決めての入選が十分あり得そうだ。
彼らローテ候補たちは練習試合で甲乙つけがたいアピールを見せており、工藤監督にとっては悩ましいところだ。しかし、決断の時は迫っている。最終的には実績という安心材料が、当落を決めるうえでの要素となる可能性がある。
となれば、上で挙げた名前の中では二保が厳しい立場に追いやられることになるかもしれない。