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ベッテル離脱でドイツF1界に翳り?
シューマッハーから続く栄光は……。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2020/05/27 11:00

ベッテル離脱でドイツF1界に翳り?シューマッハーから続く栄光は……。<Number Web> photograph by Getty Images

2004年日本GPで表彰台に上がるシューマッハー兄弟(左ラルフ、右ミハエル)。ドイツの輝きは今や遠い記憶か。

「若い世代には厳しい状況」

 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れているF1は、いま7月から再開するという新しいカレンダーを作成している最中だ(5月22日現在)。状況によってはドイツでのF1が復活する可能性もある。しかし、それはあくまで緊急事態下でのバックアップ的な存在であり、ドイツでのF1人気復活を意味するものではない。 

 ミハエルの弟であり、F1ドライバーとして'01年のドイツGPと、'03年ニュルブルクリンクでのヨーロッパGPで2度の母国優勝を経験しているラルフ・シューマッハーは、こう嘆く。 

「私が若かったころ、ドイツにはカート場がたくさんあった。さらに企業がバックアップしてくれて、多くの若者がF1を目指す環境も整っていた。でも、いまは企業があまりモータースポーツ活動に積極的ではなくなったし、カート場も減ってきて、いまのドイツは若い世代には厳しい状況となっている」 

 それでも、新たな可能性も芽生え始めている。ラルフの息子のダビッド・シューマッハーが昨年F3にデビュー。ミハエルの息子でラルフの甥にあたるミック・シューマッハーは昨年F2にデビューし、フェラーリのドライバー育成システムの一員として'20年もF2へ挑戦する予定だ。 

フェラーリでのラストシーズン。

 ドイツ人ドライバーが'21年のF1に参戦するかどうかは、まだわからない。しかし、ベッテルが'20年限りでフェラーリを離脱することは決まっている。

 '15年にフェラーリへ移籍したとき、ベッテルは跳ね馬での抱負をこう語っていた。 

「フェラーリでチャンピオンになれるのなら、いま持っているタイトルの数(4回)が半分になっても構わない」 

 フェラーリでのチャンピオン獲得は、憧れのヒーローだったM・シューマッハーの偉業であり、だからこそベッテルの夢だったのだ。しかし、ベッテルはその夢を実現することなく、'20年限りでマラネロを後にする。 

 ベッテルはかつて「ミハエルが恋しい」と漏らしたことがある。'13年末のスキー事故で重傷を負ってリハビリが続いているというシューマッハーからアドバイスを得ることは、いまはできない。ベッテルはいま自らのレース人生をどのように考え、どのような思いでフェラーリでのラストシーズンを戦おうとしているのか。

  期待と不安が交錯する中、もうすぐ、'20年シーズンが始まろうとしている。

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