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登山界の人気者・田中陽希の楽観性。
「三百名山ひと筆書き」は足止め中。 

text by

千葉弓子

千葉弓子Yumiko Chiba

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photograph byYoki Tanaka

posted2020/05/20 08:00

登山界の人気者・田中陽希の楽観性。「三百名山ひと筆書き」は足止め中。<Number Web> photograph by Yoki Tanaka

コロナでの登山自粛を受けて、山形県の空き家で「三百名山全山人力踏破」を一時休止中の田中陽希。

モチベーションは「深く考えない」。

 5月14日、山形県や隣県の緊急事態宣言が解除されたが、県をまたぐ行動はまだ自粛要請が続いている。日本山岳・スポーツクライミング協会をはじめとする4つの山岳団体は登山自粛に関する共同声明を発表している。東京に引き上げた撮影スタッフもそのままだ。

 田中はいつ旅を再開するつもりなのだろう。

「撮影スタッフが東京を出られるのはまだ先だと思うので、そうですね、早くて6月初め頃じゃないでしょうか。山岳団体が今後発表するであろう指針も気になるところです。自分が登山を再開することで生まれる影響も考えなければいけませんから」

 停滞が長引くなか、旅のモチベーション維持は難しくないのだろうか。

「あまり深く考えないようにしています(笑)。いつかは歩けるようになりますからね。これまでも悪天候による停滞があったんです。昨年は長梅雨により南アルプスの麓の川根本町で1カ月も過ごすことになりましたし。だから大丈夫です」

「もともと明日のことはわからない」

 そしてこうも続けた。

「もともと人間て、明日のことはわからないじゃないですか? コロナがなくても、明日に何が起こるか僕らは予知できない。そう考えると、いまも同じですよね。 感染予防をしっかり行い、心身の健康を保っておく。1年目に骨折して2年の予定が3年に延び、いままた4年目に突入することを覚悟し始めています(笑)」

 ある意味、アドベンチャーレーサーらしいといえるのかもしれない。紙の地図だけを頼りに、手つかずの大自然を数百キロ、何日間もチームで突き進むスポーツには不確定要素がつきものだ。嵐になることもあれば、峠で自転車が壊れることもあり、渡るはずの川が増水することだってある。

 現実を冷静に受け止めながら、どこか楽観的に今日を生きる。歩けるときが来たら、また歩き出せばいいのだから。

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