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松山英樹と畑岡奈紗、中断の影響は?
崩れ去ったメジャー初制覇への計画。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2020/03/25 11:40

松山英樹と畑岡奈紗、中断の影響は?崩れ去ったメジャー初制覇への計画。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

ザ・プレーヤーズ選手権の初日にコースレコードを記録するなど好調だった松山。悲願のマスターズ制覇に向けたプランも練り直しとなった。

マスターズ中止を知った松山。

「ことしはマスターズ用のキャディバッグをつくれないんです」

 松山が契約するダンロップ(住友ゴム工業)の用具担当者が漏らしていたのが、ずいぶん前のことのように思える。3月初旬、クラブをはじめとしたプロダクトの製造拠点である中国での生産が滞ったことで、あらゆるゴルフメーカーはツアープロに供給する製品の対応に頭を抱えていた。4月の祭典・マスターズはゴルフ界がグリーンに染まる特別な1週間。出場選手はみな、このために特別に用意されたグッズやウエアを持ち込むが、今年はそうはいかないのもやむを得ない。例年に比べて少し寂しくなりそうな雰囲気が漂っていた。

 それから数日後、開催自体が見送られてしまったのだから驚くほかない。松山はザ・プレーヤーズ選手権の初日にコースレコードに並ぶ63をマークして単独首位発進を決めた夜に同大会の中止が決まり、翌日にはマスターズの延期を知った。「マスターズのために、仮に試合がなくなる可能性があるにしても準備することが自分たちにできること」と静かに意気込んでいた矢先の知らせだった。

悲願達成へ、スケジュールを見直し。

 実は松山は今年、悲願達成のため直前のスケジュールの見直しを考えていたところだった。マスターズ前週に行われる(はずだった)バレロテキサスオープンという出場経験のない平場の大会へのエントリーを模索していた。

 これまでアマチュア時代を含めキャリアで8回出場したマスターズの前週はいずれも会場のあるオーガスタで調整、コースチェックを繰り返していた。それが昨年あたりから心境に変化があった。

「オフの週を挟むと最近いつも調子が悪くなる。だからオフを失くしたほうが良いのかなって」

 理由はもちろんマスターズで「勝つためにね」。

 3月下旬から最長でWGCデルテクノロジーズマッチプレー、バレロテキサスオープン、マスターズという3連戦を想定。「そのときの状態次第で変えようと思っていた。マッチプレーで良いプレーができたらバレロテキサスには出ないことも考えていました」という計画が思わぬ形で頓挫した。

【次ページ】 メジャー制覇へ模索中の畑岡。

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