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強さも仏頂面にも全部理由がある!
孤高の大関・貴景勝の魅力とは?
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph byKyodo News
posted2020/03/20 09:00
無観客開催のエディオンアリーナ大阪にて。春場所初日、貴景勝が高安をしっかりとした押し出しで下したシーン。
「僕たちだって仏頂面していたくなんかないです」
昨今は、SNSの普及によって、より自然体な力士たちの姿を見ることもできるようになった。しかし、本場所は戦いの場。「本当だったら、僕たちだってインタビュールームのカメラの前で仏頂面していたくなんかないですよ」、と彼は笑う。
「でも、それは僕たち力士に、昔からの文化を継承していく義務があるからしていることです。お相撲さんは、横綱・大関に勝った後のインタビュールームでべらべら余計なことをしゃべらない。それが美学なんです」
時代が変わっても、いくら自分が現代っ子でも、引き継がれてきた伝統と文化に敬意を払い、プロとしての姿を意識する。それが、大関・貴景勝なのだ。
まとめ:若き武士にエールを!
ここまで読めば、大関・貴景勝の魅力は十分におわかりいただけたのではないだろうか。そして、そんな貴景勝を「もっと応援したい!」と、そんな風に思っていただけたら幸いである。
かつてのインタビュールームで、肩で大きく息をしながら言葉少なに応対し、帰り際には「しゃっしゃっしゃー(=ありがとうございました)」とだけ口走って、ニコリともせず足早にその場を去っていった貴景勝。当時、なんだか可愛らしくてその映像を何度も見ては爆笑していたが、「力士たるもの、へらへら喋ってはいけない」と、彼なりに考えてあんなインタビューになったのだろう。
今や貫禄ある大関だが、それでも中身はまだまだ普通の23歳。
若き大関が努力し成長する姿を、これからも温かく、期待をもって、見守っていこうではないか。