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パリ五輪に気持ちを切り替えて。
早田ひな、全日本で涙の初V。

posted2020/02/16 11:30

 
パリ五輪に気持ちを切り替えて。早田ひな、全日本で涙の初V。<Number Web> photograph by AFLO

シングルス、ダブルスの2冠を達成した早田。この結果、3月に釜山で開催される世界選手権団体戦の代表に決定。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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“黄金世代”のラストピースがとうとう頂点に立った。全日本卓球選手権が1月13日から19日まで大阪で行なわれ、女子シングルスは世界ランキング23位の早田ひな(日本生命)が準決勝で同3位の伊藤美誠、決勝で同9位の石川佳純を破り、涙の初優勝を飾った。'17年の平野美宇、'18、'19年の伊藤に続き、女子シングルスは4年連続で'00年生まれがタイトルを手にした。

 持ち味をフルに発揮しての勝利だった。ロングサーブ、後陣でのラリー、両ハンドの強烈なドライブやストレート。攻めのバリエーションで伊藤を上回って4-3の激戦をものにすると、サウスポー対決となった石川との決勝では、167cmの長身を生かしたパワーを炸裂させ、4-1と圧勝した。伊藤は「戦術も調子も相手が上だった」と称え、石川は「サーブの回転を最後まで読めなかった」と敗因を挙げた。

 平野、伊藤と同じ黄金世代。'14年ワールドツアーグランドファイナル女子ダブルスで「みうみま」が史上最年少優勝を果たしたのを追うように、伊藤と組んだダブルスで'17、'19年の世界選手権で連続でメダルを手にし、「みまひな」として名を上げた。しかし、シングルスでは勝負所で殻を突き破れず、東京五輪の代表争いにつながる1月の世界ランクでは日本の6番手に甘んじた。

「ひなちゃん頑張れ」に涙。

 パリ五輪へ気持ちを切り替えたのは1月2日から地元・福岡の石田卓球クラブで練習したときだ。4歳で卓球を始めた場所で、20人近い子どもたちと試合をしながら、五輪という夢を抱いた原点に返った。石田大輔コーチに「自分で限界を作らずにやっていきたい」と決意を伝えて臨んだ全日本選手権で、伊藤と組んだ女子ダブルスとの2冠を果たした。

「これまで頑張っても結果が出ないことが多かったが、たくさんの方が『ひなちゃん頑張れ』と励ましてくれた。結果で恩返しできて良かった」。涙で視界がにじむ。

 男女シングルスとも東京五輪代表が相次いで敗れた波乱の大会で、大器が一段上のステップを踏んだ。「今まで逃げていた部分でも自分と向き合っていきたい」と宣言する19歳の新女王は、黄金世代の実力をより強固にし、卓球界の未来を照らしていくはずだ。

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