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元なでしこの永里亜紗乃が語る
姉・優季とのライバル関係。
posted2020/02/05 11:00
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Yuki Suenaga
1歳上の姉で、現在もシカゴでプレーを続けている永里優季とは、長くライバル関係にあったという。引退して4年、彼女が姉との思い出を語る。
もともとは兄がサッカーをやっていて、姉は体操クラブに入っていました。末っ子の私は何を習うか、となったときに、兄の真似をして「サッカーをやりたい!」って言ったんです。親としては、送り迎えが増えたり、習い事の時間がずれると大変じゃないですか。だから「あなたもサッカーにしなさい」と言われて、姉もサッカーをすることになったんです。
うちの兄弟はみんな負けず嫌い。サッカーに限らず、トランプでも、カードゲームでも負けたら号泣するぐらい(笑)。歳の差はあっても、同じ土俵で遊んでいたので、ハンデもなくて、よく負けては泣いていましたね。
サッカーも同じ。私ができないプレーで姉に負けることも多くて、すごく嫉妬をしていました。でも結局、姉はどんどん実力が伸びていって、途中からは正直、もうこれは敵わないやって諦めたんです。追いつこうと思ったり、ライバル視をしても無理なんだと、小さい頃に割り切ってしまった。そこからは、ただ楽しいからサッカーを続けているというスタンスでした。
昔は口もきかないぐらいバッチバチ(笑)。
結局逃げようとしていたんです。姉は日本代表で活躍していて、じゃあ妹は? ってなったら「あれ?」って思われるじゃないですか。姉と比べられたくないから、自分の世界に入って、自分だけで楽しみたいと思っていたし、ワールドカップやオリンピックに出たいという目標もありませんでした。そんなモチベーションだったから、シュートやリフティングの練習をすごくした覚えもないし、自分が思うような努力というのはしてこなかった。試合でも自分が感じるまま、感覚のままにプレーをしていました。敵がこっちから来ているから、こっちに動こうとか、本当にただの感覚。監督にもよく幼稚とか、ザ・妹って言われていましたね。
とはいえ、姉とは口もきかないぐらいバッチバチ(笑)。中学、高校も同じクラブチームに所属していたので、行きも帰りもずっと一緒なんですよね。私は私でイライラしているし、姉は姉で何でいつも真似をするんだみたいな感じでした。
思えば、姉はこだわりが強くて、机の上をすごくきれいに整理していたんですけど、イラついたときは、それをグシャグシャに乱したりしたこともありましたね。10年ぐらいは口をきかなかったんじゃないかな。