フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュア女子、驚異のロシア勢。
強さの鍵、ジャンプのルーツを探る。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byMaja Hitij/Getty Images
posted2020/01/28 11:30
欧州選手権で上位を独占したロシア勢。左から、銀・シェルバコワ、金・コストルナヤ、銅・トゥルソワ。
技術理論に忠実に技を学ぶ。
現在はコーチの活動を引退してロシアスケート連盟の顧問を務める彼が、少し前にロシア語で書いたスケート技術指南書がある。それには、ジャンプの基礎の大切さが切々と書いてある。
子供に1回転ジャンプを教えるときに、正しい技術を教えることがどれほど大事か。軸足に対する肩の位置、体重を乗せるブレードの位置など、彼の詳しい技術分析を読むと、クドリャフツェフが、どのようなプロセスを踏んで短期間で技術を習得していったのかある程度理解できる。
氷の上に立った時すでに16歳になっていた彼は、おそらくバレエで鍛えた体幹とバランス感覚を使って、技術理論に忠実に1つひとつの技を学んでいったのではないか。
欧州選手権でメダルを独占した女子3人は、言ってみればこのクドリャフツェフの孫弟子にあたる。ロシアのスケート王国の伝統は、脈々と受け継がれているのである。