フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュア女子、驚異のロシア勢。
強さの鍵、ジャンプのルーツを探る。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byMaja Hitij/Getty Images
posted2020/01/28 11:30
欧州選手権で上位を独占したロシア勢。左から、銀・シェルバコワ、金・コストルナヤ、銅・トゥルソワ。
ジャンプコーチ、セルゲイ・デュダコフ。
グレイヘンガウス氏はジュニア時代はシングル選手として活動したが、国際大会でメダルに手が届かないまま2010年にアイスダンスに転向し、その後アイスショーでの活動を経て2014年からエテリチームの振付師となった。
それでは現在のクワッドガールズたちを含む、これまでのチャンピオンたちにジャンプの技術を教え込んだのは、いったい誰なのか。
そのジャンプコーチが、このセルゲイ・デュダコフなのだ。
「2つの出会いのおかげです」
デュダコフは、ソ連代表の選手として1989-1990年シーズンにゴールデンスピン杯で優勝。
また現在ジュニアGP大会の中に取り込まれたピルエッテン杯でも、2年連続優勝している。だがその後成績が伸び悩み、ソ連崩壊直前の1991年に競技から引退した。
あっさりと諦めて競技引退したのを後悔していることを、デュダコフは後にロシアメディアのインタビューで告白している。
当時のトレーニング仲間には、のちに欧州選手権で2位になったイゴール・パシュケビッチ、イリア・クーリックらがいたという。
デュダコフが師事していたのが、ヴィクトール・クドリャフツェフコーチだった。
実をいえば、グレイヘンガウスがシングル競技時代に指導を受けていたのも、クドリャフツェフである。今のエテリ王国のスケーターのジャンプ技術の基本は、クドリャフツェフに遡ると考えて間違いないだろう。
「現在の私があるのは、2つの出会いのおかげです。1つ目は、選手時代にヴィクトール・クドリャフツェフに出会えたこと。そしてコーチになってから、エテリに出会えたこと。自分は本当に出会いに恵まれたと思う」とデュダコフは語っている。