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<エールの力2019-2020 vol.6>
鈴木啓太「今も心の中でこだまする大声援」
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/01/27 11:00
無音だった埼スタで感じたこと。
福岡での涙の勝利と並んで鈴木さんが声援のありがたみを痛感したのが、'14年の無観客試合だ。いつもは大歓声に包まれる真っ赤な埼スタが、その日は無音。無機質なプラスチック席が並んでいた。
「あんな試合は、もちろん初めてです。サポーターがいないので、選手の声、ボールを蹴る音だけが響く。ゴールが決まると、いつもならスタジアムがドーン! と揺れて大歓声が沸きますが、それもなくて」
この無観客試合を経験して、腑に落ちるものがあったという。
「ぼくたちが普段ピッチで感じているものが、いったいどういうものなのか。それがわかった気がしました。スタジアムにはサポーターのみんながいて、彼らの感情が渦巻いている。その感情は目に見えなくて、思いが込められた声援も目に見えません。でも、その見えないものがぼくらを勇気づけたり、後押ししたりするわけです。無観客の中でプレーして、サポーターのみんなの思いや声援の力を改めて実感することができました」
今もサポーターの声がこだましている。
'15年に引退した鈴木さんは、起業家として第二の人生を歩み始めた。その視線は、近い将来のクラブ経営を見据えている。
「人が生きる意味を考えたとき、だれかの役に立つということがなにより大切な価値だと思う。“自分の中にレッズがあり、選手たちがいる”と話してくれたサポーターの方がいますが、ぼくの心の中にもサポーターのみんなが住んでいました。スポーツの世界では、みんながだれかの人生の中に生きることで、熱狂や共感が広がっていく。ぼくはこれからも、そういう世界で貢献していきたい」
そう、鈴木さんの心の中には、いまもサポーターの大声援がこだましているのだ。
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