沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
有馬記念を完勝したリスグラシュー。
アーモンドアイとの差は10馬身以上。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/12/23 11:50
まさに圧勝、ゴールを前にダミアン・レーンは勝利を確信して天を指した。リスグラシューの年度代表馬は確定的だ。
全力を出し切ったとは言いがたい。
勝っていれば、「道中は抑え切れないほどの抜群の手応えだった」という表現になったのだろうが、最後の直線ではまったく「らしさ」がなかった。これも結果論だが、4コーナーで外からフィエールマンに並ばれて併せ前の形になったのもよくなかった。
いつもなら楽に突き放している直線入口で、じわじわと前に出られて嫌気が差したのかもしれない。これまでは、そうした悪い意味での牝馬らしさを見せてこなかった馬だけに、残念な敗戦となった。
ただ、全力を出し切ってちょっとだけ負けた「力負け」ではないし、3、4コーナー中間地点から楽に押し上げてきた脚には「さすが」という鋭さがあった。
立て直して、また来年、女傑伝説のつづきを見せてほしい。
1、2着の馬主はキャロットファーム、1着から4着までがノーザンファームの生産馬だった。ノーザンファームは、昨年のブラストワンピースにつづく有馬記念5勝目。JRA・GI実施機会10連勝で、同牧場の記録を更新するGI年間19勝目となった。