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元プロテニスプレーヤー伊達公子に学ぶ
年齢にとらわれない前向きな人生の重ね方。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/01/01 11:00

元プロテニスプレーヤー伊達公子に学ぶ年齢にとらわれない前向きな人生の重ね方。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ターゲットを作るとポジティブになれる。

 ファーストキャリアのときは、正直、日本人初とか、そういう見出し的なことを言われるのがすごく嫌だったんですね。だけど復帰をしてからは、最年長とか40代とか、年齢的な話題になっても、周囲が気を使うほどには、私の中に抵抗はありませんでした。なぜかというと、自分が再チャレンジを決めた時点で、年齢を受け入れなければ、足を踏み出すことができないと理解をしていたから。自分の年齢を表に出すことは反対に自分のエネルギーにもなっていたので、こだわりはありませんでした。その後、外国の記者の方に、「年齢は単なる数字にしか過ぎない」と言われた時もストーンと入ってきて。年齢にこだわるよりも、今の自分の年齢の中で何ができるのか。この大きなチャレンジが現役時代の最大のエネルギーになっていました。

 10代、20代の頃の元気さとか、寝るだけで回復できる体力とか、変化がある毎日に比べたら、40代の日々って、変化を感じにくいと思うんですよ。じゃあ、自分が生き生きと元気でいられる源はなんだろうって振り返ると、やっぱり自分の好きなこと、興味があるところに行き着くと思うんです。

 若い頃よりもチャレンジする機会というのは自然と減っていきます。だからこそ、自分から何かに新しくチャレンジしていくこと、変化して、進化していくことが生きる原動力になるんじゃないかと思っています。実際、37歳で現役復帰したことが自分自身にもたらしたことって、すごく大きなものだったんです。そこまで大きなことではなくても、マラソンに挑戦したり、何かにチャレンジすることってやっぱり大事。一歩を踏み出す勇気って、年齢を重ねるとともにだんだん持つことが難しくなってくることも分かります。でもターゲットを作るとポジティブにもなれるし、生き生きとすることに絶対つながると思うんです。

太く長く生きたいんですよね。

 テニスと同じで、人生も時として寄り道をすることも、負けを知ることも、挫折をすることもあると思います。でも必ずそれが必要な時期、タイミングがある。勝つことしか知らない、成功でしか生きていない人よりはやっぱり負けや失敗を知っている人の方が大きく成長できるんじゃないかと私は思います。だから私は自分が歩んできた道を何ひとつとして後悔はしていないし、多少の失敗をしてもいいから、挑戦を続けていきたい。

 うちの家系って、女はみんな長生きなんですよ。だから人生100年時代って言われますけど、私は110歳を目指していて、50歳を手前にして、まだ折り返しにもたどり着いていないぐらいの気持ちです(笑)。あと10年ほどで60歳、世の中的には定年かもしれませんが、まだまだ元気な方が世間にはたくさんいらっしゃいますし、私も全然いける!という気しかしていません。70歳、80歳になってもパワフルにテニスをしていらっしゃる方もいますし、私も80歳になっても、負けないぐらい元気なんだろうなってイメージできる。太く短くよりも、太く長く生きたいんですよね。今が折り返し地点なら、これまでと同じ分だけ人生が続くということ。そう思うと、この先どういう変化が起きるのか、まだまだ楽しみしかありません。

伊達公子

伊達 公子Kimiko Date

1970年9月28日、京都府生まれ。高校卒業と同時にプロに転向。'95年には当時日本人史上最高のWTAランキング4位。'96年フェド杯では当時世界1位のシュテフィ・グラフを撃破。同年11月、世界ランク8位のまま引退。'08年、37歳で11年半ぶりに現役に復帰し全日本選手権を制覇。'09年韓国OPではWTAツアー史上歴代2番目の年長記録で優勝。'13年ウィンブルドンでは同大会史上最年長の42歳で3回戦進出。'16年に左膝半月板を2度手術し、'17年に復帰。同年9月、ジャパンウイメンズOPを最後に2度目の引退をした。早稲田大学院修士課程修了。

ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第88回:伊達公子(テニス)Part.1

1月3日(金) 22:00~22:24

2020年最初のゲストは元プロテニスプレーヤーの伊達公子さん。世界のトップとして長きに亘って活躍。'17年に2度目の現役を引退した後は次世代の花を咲かせることに力を注いでいます。その一つがジュニア育成プロジェクト。その現場に密着し、世界を知る彼女ならではの指導論・教育論に迫ります。

第89回:伊達公子(テニス)Part.2

1月10日(金) 22:00~22:24

日本女子テニス界のレジェンド・伊達公子さんが2週連続で登場。後編では伊達さんの美学と言葉を掘り下げると共にプライベートにも迫ります。今年50歳を迎える彼女の健康の秘訣は睡眠。今でも1日8時間は寝るとのこと。そんな伊達さんに“理想の最期”を聞いて返ってきた答えとは?

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