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武豊が手にした朝日杯制覇チャンス。
馬券的にも「2強」より美味しい?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/12/14 19:00
キャリア3戦すべてで最速の上がりを使っているタイセイビジョン。武豊に朝日杯をプレゼントするか。
武豊が残すあと2つのGI。
前記の2強に次ぐ存在になりそうなのが、これもまた乗り替わりなのだが、武豊が騎乗するタイセイビジョン(牡、父タートルボウル、栗東・西村真幸厩舎)である。
サリオスと同日、6月2日の阪神芝1400mの新馬戦(サリオスは東京芝1600mの新馬戦)では、勝負どころから前をひとマクりにして2馬身半差で圧勝。つづく函館2歳ステークスは、直線で馬群を縫うように追い上げるも、及ばず2着。
そして前走、東京芝1400mの京王杯2歳ステークスは、道中掛かるシーンがありながら、函館2歳ステークスの勝者ビアンフェをかわし、2馬身突き放した。
道中で行きたがったのは、その前に1200mの函館2歳ステークスを使った影響があったのかもしれない。
マイルは初めてになるが、先週の阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったレシステンシアにイメージが重なる。1400mでも掛かるぐらいだから、距離が延びて大丈夫かと不安にはなるが、こと爆発力に関しては2強以上かもしれない。
武が勝っていないGIは、この朝日杯とホープフルステークスだけだ。レッドベルジュールの鞍上がスミヨンになってまた栄冠が遠ざかったかと思いきや、ひょっとしたらと思わせる逸材が回ってきた。
20回目の朝日杯は、特別な一戦になるか。掛かる馬をなだめ、距離をもたせる技術にかけては天下一品の武が、どんな手綱さばきを見せるか、楽しみだ。
力が同じで人気が違えば……。
ということで、印を。
◎タイセイビジョン
○サリオス
▲レッドベルジュール
「甲馬乙馬実力比敵し、しかも甲馬は人気九十点乙馬は人気六十点ならば、絶対に乙を買うべし」
突然だが、これは、「文壇の大御所」と呼ばれ、文藝春秋の創設者でもある菊池寛が1936(昭和11)年に上梓した『日本競馬読本』所収「我が馬券哲学」からの引用である。菊池は、大の馬券好きで、馬主としても知られていた。
人気九十点の甲馬はサリオスとレッドベルジュール。人気六十点の乙馬はタイセイビジョン、ということになる。
タイセイビジョンを買うべし。