Sports Graphic Number WebBACK NUMBER

クライミング最大の武器は「若さ」。
“進化途上の選手たち”から目を離すな! 

text by

津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

PROFILE

photograph byAFLO

posted2019/11/29 11:00

クライミング最大の武器は「若さ」。“進化途上の選手たち”から目を離すな!<Number Web> photograph by AFLO

今回のアジア選手権はインドネシアでの大会ということもあり、ヒジャブ着用の選手も見られた。

ユース選手権ではメダルラッシュ!

 アジア選手権後の11月14日から17日まで、中国・重慶で行われた『アジアユース選手権コンバインド』では、ユース日本代表が表彰台を席巻した。

 ジュニア(2000年、2001年生まれ)、ユースA(2002年、2003年生まれ)、ユースB(2004年、2005年生まれ)の男女各3カテゴリーで18個あるメダルのうち、金メダル5個を含む計13個のメダルを獲得。

 なかでもユースA男子で竹田創(はじめ)が圧巻のパフォーマンスを見せた。スピードとボルダリングで1位。リードは2位ながらも、1位との差は高度1+。コンバインド3種目すべてで1位を獲得しての完全優勝は惜しくも逃したものの、自身初めての国際大会タイトルを手にした。

 今春から長期展望のもとに体づくりに重点を置いた竹田は、「クライミングジムで登るよりも、フィジカルトレーニングに行く方が多い」という時期を設けながら成長を遂げてきた。

 ただ、まだ進化の途上にある竹田が、年齢制限のないシニア大会で躍動するためには超えなければならないハードルは少なくない。それでも時に急激な飛躍を果たすのが若さの特権でもある。

 そのキッカケになりそうなのが、12月に3つの単種目を争う『アジアユース選手権』(12日~15日)。すでにW杯で実績を残す川又や西田秀聖などと共に竹田も出場予定。同世代との争いから得る刺激を糧に、来シーズンまでの間でどんな成長曲線を描くのかは楽しみでもある。

 W杯ボルダリングでの日本勢の躍動もあって、BJC=世界の頂点という構図になっている。そのため地域限定の国際大会への注目度は高くないものの、その舞台で日本代表選手を含めた争いのなかから新たな力は芽吹いている。彼らが来年のW杯シーズンで大きな花を咲かせられるかが決まるのは3カ月後。BJCの戦いはすでに始まっている。

BACK 1 2 3

ページトップ