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井上尚弥の左フックを読み切った、
世界最高のボクシングカメラマン。
text by
高橋夏樹(Number編集部)Natsuki Takahashi
photograph byNaoki Fukuda
posted2019/11/14 18:00
福田直樹が撮影した井上尚弥対ドネア戦の決定的カットの1枚。連写機能があれば撮れる、というものではない。
世界から井上の写真のリクエストが殺到。
試合後、福田は深い感慨に浸っていた。
アメリカでボクシングカメラマンとしてあらゆるメガマッチを撮ってきた福田は、アメリカでの夢をすべてかなえたと感じ、今度は逆に自身の実績と人脈を通じて、日本のボクシングを地道に世界に「広報」したいと考えて帰国した。
だが福田の想像よりはるかに早く、村田諒太、そして井上尚弥という“世界に求められる”スターが現れ、今回の試合では福田のもとに海外メディアから「イノウエの写真を送ってくれ」というリクエストが殺到したという。
「アメリカ時代にはドネア選手とも仲が良かったんです。その彼が日本に来て、これだけの大イベントで、絶頂期の強い井上選手とやる。その試合を世界中に発信できる。自分のなかでは、ひとつカメラマン人生の総決算みたいな思いでいました。
もちろん井上選手が勝つとは期待していましたが、ドネア選手にもいいところ、いい試合を見せて欲しいな、と。実際そういうパターンになる確率は低かったと思うんですが、その通りになってくれた」
大舞台で勝ちきり、「トップランク」社との契約を発表した井上には、今後年2回程度のビッグマッチがアメリカで組まれることになるだろう。
「アメリカでやって、どんどんいろんな強豪に、凄い勝ち方をしてもらいたいですよね」
そう微笑む福田の姿も、きっとアメリカのリングサイドでまた見られるはずだ。
11月14日発売のNumber990号「KO主義」は、井上vs.ドネア戦のレポートから井上、ドネア両選手のインタビューなどでこの大試合を徹底詳報。福田カメラマンの大迫力の写真が満載、さらに別企画では福田氏が撮影してきた「衝撃のベストKOシーン」も掲載します。ボクシングファン必携の一冊、ぜひお手に取ってみて下さい!