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プレミア12の活躍で東京五輪でも!
神足・周東佑京と甲斐野央のフォーク。
posted2019/11/12 12:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
稲葉篤紀監督が世界一奪回を掲げる「プレミア12」の戦いを見るときに、必ず必要なもう1つの視点がある。
それは来年に迫る東京五輪で、侍ジャパンが金メダルを手にするために、どの選手が必要で、どの選手が必要ないのかを見極める。その最終的な選別の視点だった。
大苦戦だったスーパーラウンド初戦の豪州戦。試合は相変わらず打線が機能せずに、終盤まで追いかける展開だったが、最後はオープニングラウンド初戦のベネズエラ戦同様に相手投手の自滅による押し出しで勝ち越し点という危なっかしい勝利だった。
グリーンライトが常に灯っている。
しかし五輪に向けた選手の選別というもう一つの視点で見たときには、白星以上に大きな収穫があった試合だったとも言えるだろう。
1つはもちろんこの試合の同点劇の立て役者である周東佑京外野手(ソフトバンク)の足である。
1点のビハインドを背負って嫌なムードが流れる7回だ。その重い1点を、文字通りにもぎ取ったのが周東の足だった。
先頭の吉田正尚外野手(オリックス)がセンター前安打で出塁すると、すかさず稲葉監督が周東を代走に送る。ベンチからのサインは……特にない。というより今回の侍ジャパンには、走れるときには思い切って走れというグリーンライトが常に灯っているので、サインは必要ないということだ。
そのグリーンライトに応じて周東が次打者・浅村栄斗内野手(楽天)が三振に倒れたときにまず二盗を決める。そして2死から8番・源田壮亮内野手(西武)の3球目に今度は三盗を成功させると、すかさず次の4球目に源田がセーフティースクイズを転がした。