ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
“大成功のZOZO”の裏で痛感した差。
日本ツアー選手たちの葛藤と課題。
posted2019/11/05 18:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
AP/AFLO
まさか、と言うべきか、やはり……が正しいのか。実力差は数字になって表れてしまった。
タイガー・ウッズがサム・スニードに並ぶ通算82勝目を挙げた“ZOZO”。松山英樹が歯を食いしばって2位に入った“ZOZO”。日本で史上初めて開催されたPGAツアーは、諸々の心配を覆い隠すほどの成功を収めた。
待望のZOZOチャンピオンシップは大雨の影響で大会2日目のラウンドが順延され、3日目も無観客試合を余儀なくされたが、期間中のべ5万5000人のギャラリーが来場した。悪天候下で一時的に壊滅状態になったコースも、短時間に見事に修復され、日本のゴルフ場の優れたマンパワーを世界に示す結果になった。
煌びやかな記憶を刻んだからこそ、伏し目がちにやり過ごしたい事実もある。
日米共催トーナメントで、日本ツアーのメンバーが4日間を通じて上位を脅かすことは結局なかった。最高位は米国を主戦場にする小平智の37位。賞金ランキングトップ(当時)で迎えたチャン・キムは41位、同2位の今平周吾は59位、3位石川遼は51位に終わった。
「ショートゲームのうまさが別格」
今シーズン、初勝利を挙げて大会に出場した若手も一様に「完敗」を認めるほかない。
浅地洋佑は2勝目を飾った9月のANAオープン以降、調子が下降していた。それでも「自分が絶好調だったとしても、(ウッズの)19アンダーまでは行かなかったと思います」と振り返った。理由はシンプル。
「見ていたら技術が圧倒的に違う」
試合中はさておき、ラウンド前後のPGAプレーヤーの様子に思わず驚いた。「アプローチ練習場で見たんです。タイガーやトミー・フリートウッド、ジャスティン・トーマスにロリー・マキロイ……ショートゲームのうまさが別格でした。球のさばき方がメチャクチャうまい。なんてことのないライから、何通りもの打ち方ができるように見えた」と足元をじっと見た。