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菊花賞はヴェロックスが人気だが……。
「押し出された本命」不遇の歴史。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/10/19 18:00
春に数々の強豪と接線を繰り広げてきたヴェロックス。ひと夏越えて、現在の力関係はいかほどか。
メジロライアンやハーツクライの記憶が……。
といったように、普通に考えるとヴェロックスが不動の◎なのだが、押し出されて本命になった馬は、菊花賞ではなぜか負けることが多いイメージがある。
古くは、1988年のヤエノムテキ(10着)、'90年のメジロライアン(3着)、'97年のシルクジャスティス(5着)、'04年のハーツクライ(7着)、'09年のリーチザクラウン(5着)……などなど。
上記の'88年はスーパークリーク、'90年はメジロマックイーン、'97年はマチカネフクキタル、'04年はデルタブルース、'09年はスリーロールスと、春はさして実績のなかった「上がり馬」が勝利をおさめている。
雰囲気のある上がり馬がちょうど2頭。
今年のメンバーにも、非常に「らしい」成績でここに来た上がり馬が2頭いる。
1頭はヒシゲッコウ(牡、父ルーラーシップ、美浦・堀宣行厩舎)だ。デビューが年明けと遅くなり、2戦目のプリンシパルステークスで3着。
その後、夏の函館、札幌で古馬相手に連勝して菊花賞に駒を進めてきた。鞍上にクリストフ・スミヨンを確保したのも強調材料だ。
もう1頭はホウオウサーベル(父ハーツクライ、美浦・奥村武厩舎)である。2年前のセレクトセールで1億3500万円という高値で取引された期待馬だ。ヒシゲッコウ同様、条件戦で古馬相手に連勝し、前走の阿賀野川特別では2着を5馬身突き放した。
阿賀野川特別は、'08年の勝ち馬オウケンブルースリが菊花賞1着、'17年の勝ち馬ポポカテペトルが同3着、'18年の勝ち馬ユーキャンスマイルも3着になるなど、菊花賞につながるレースになっている。