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曹監督の退任、そして湘南の苦境。
クラブとしてハードワークで再建を。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2019/10/09 11:50

曹監督の退任、そして湘南の苦境。クラブとしてハードワークで再建を。<Number Web> photograph by Getty Images

湘南ベルマーレというクラブがここからどんな道を進むか。それにサッカー界は注目している。

制裁、そして再発防止への動き出し。

 Jリーグは調査結果を報告するとともに、曹監督とクラブにそれぞれ制裁を下した。曹監督にはけん責と5試合の出場停止、クラブにはけん責と罰金200万円である。

 ベルマーレはJリーグの調査と並行して、コンプライアンス委員会を立ち上げた。また、株主とスポンサーに意見を募った。ファン・サポーターを含めたステークホルダーの意見を、再発防止とクラブの再建に反映させるためである。

 再発防止については、すでに動き出している。「強化体制の強化、相談窓口の設置、コンプライアンス研修の実施、湘南ベルマーレの基準作り」を掲げた。

 強化体制の強化は、水谷社長がこれまで以上に現場に密接に関わり、スポーツダイレクターだけでなくゼネラルマネジャー職を設置することで前へ進めていく。

 湘南ベルマーレの基準については、「何がコンプライアンスの違反になるのか、何が正しいのかというところを、クラブが勝手に作るのではなくて、選手協会、選手と一緒に作っていきたい」と、水谷社長は説明する。

喫緊の課題はトップチームの立て直し。

 Jリーグによる制裁の決定は、今回の問題の終わりではなく再建への始まりに他ならない。クラブが変わることをはっきりと、かつ分かりやすく示すためには、スピード感を大切にしながらも十分な協議と検討を行うべきだ。

 そのうえで、フロントも現場も安心して働ける環境を作り出していくことである。地域の公共財となるために汗を流してきた日々に思いを馳せ、仲間のためにハードワークをしていくのだ。

 Jリーグによる調査報告の公開から4日後、ベルマーレは曹前監督の退任を発表した。また、クラブ独自の処分として水谷社長と坂本スポーツダイレクターの減給を決めた。眞壁会長は報酬を得ていないので、水谷社長の減給分と同額を寄付する。

 喫緊の課題は、トップチームの立て直しだ。

 曹前監督が離れてからは2分4敗と白星がなく、直近の2試合はホームで0-6、0-5と大敗している。前監督の指揮下で9勝2分11敗の11位だった順位は、J2降格圏に近い15位まで低下している。16位のサガン鳥栖とは勝点も得失点差も同じだ。

【次ページ】 湘南スタイルを、さらに進化させていってほしい。

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