佐々木、源田、近本、長嶋の記録。

　20世紀以降のMLBでは、ざっくりいえば154試合の時代と162試合の時代の2つだけだが、NPBではチーム数の増減や興行的な思惑もあって、シーズン試合数はたびたび変わった。その試合数ごとに記録を設定することはできない。そういうこともあって、試合数の違うシーズンの記録を一緒くたに比較しているのだ。

　では、近本の記録は本当にすごいのか？

　150安打以上を記録した佐々木、源田、近本、長嶋の記録を細かく比較しよう。

＜月間での打撃記録＞

3、4月
佐々木
30試合120打数26安打 打率.217
源田
23試合94打数27安打 打率.287
近本
27試合98打数32安打 打率.327
長嶋
22試合84打数20安打 打率.238

5月
佐々木
20試合82打数27安打 打率.329
源田
24試合98打数30安打 打率.306
近本
25試合106打数30安打 打率.283
長嶋
20試合78打数31安打 打率.397

6月
佐々木　
23試合90打数25安打 打率.278
源田
21試合85打数19安打 打率.224
近本
22試合95打数17安打 打率.179
長嶋
21試合84打数18安打 打率.214

7月
佐々木
23試合98打数32安打 打率.327
源田
23試合88打数20安打 打率.227
近本
22試合88打数26安打 打率.295
長嶋
17試合67打数19安打 打率.284

8月
佐々木
26試合99打数32安打 打率.323
源田
27試合110打数28安打 打率.255
近本
25試合108打数27安打 打率.250
長嶋
23試合91打数33安打 打率.363

9、10月
佐々木
32試合133打数38安打 打率.286
源田
25試合100打数31安打 打率.310
近本
15試合67打数22安打 打率.328
長嶋
27試合98打数32安打 打率.327

プロ野球ニュースの名MC、佐々木。

　佐々木信也は慶應義塾大学のキャプテンを経たのちに高橋ユニオンズに入団、また当時のパ・リーグは8球団制だった。観客動員でセ・リーグと大きく見劣りしたが、試合数を増やして数を稼ごうと各球団22回総当たりの154試合制にした。

　佐々木は開幕から二塁を守り、154試合中153試合で1番を打った（1試合だけ9番）。いわば180安打のNPB記録は、試合数の多さで作った記録だ。

　3月は35打数6安打の打率.171とからっきし打てなかったが、そこから盛り返し、オールスターにも出場。シーズン中一度も3割には達しなかったが、打率.289（6位）でフィニッシュ。ベストナインに選ばれた。しかしこの年は西鉄の稲尾和久が21勝を挙げて新人王で、佐々木は選ばれなかった。

　引退後は「プロ野球ニュース」の名MCとして一世を風靡し、80歳を過ぎても健在。筆者は高橋ユニオンズの記事を書くとき、何度かやり取りしたことがあるが、張りのある美声は往時のままだ。

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