eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
日本のeスポーツで最も重要な大会。
LJLでは、賞金は話題にならない。
posted2019/09/21 11:30
text by
八木葱Negi Yagi
photograph by
2019 Riot Games, Inc. All Rights Reserved
2019年の日本は、毎週末のようにどこかでeスポーツの大会が開かれる国になった。
世界じゅうの大会もリアルタイム配信が定番なので、複数のタイトルを追いかける生活をしていると、土日が両方フリーになることはほとんどないような状況だ。
そんな日本のeスポーツシーンにおいて、最も重要な大会は何か。
そう聞かれたら、いろいろな考え方があるのは承知の上で「LJL」と答えることにしている。
LJLとは、ゲーム『League of Legends』の日本リーグ。9月16日に行われた決勝戦はアリーナ立川立飛で開催され、3000人収容のアリーナが超満員、オンラインでは数万人のファンが熱戦を見つめた。
では、なぜLJLが重要な大会か。キーワードは「継続性」である。
1年を通じて、そして7年に渡って。
継続性の意味は2つある。
1つは、リーグが8つのチームを抱え、春と夏の2つのシーズン、1チームあたり42試合のリーグ戦を開催し、1年を通じてファンのアテンションを集め続けていること。
そしてもう1つが、LJLが6年目のシーズンを走り終えたことだ。日本のeスポーツにおいてそれだけの期間、右肩上がりで支持を拡大し続けていることは特筆に値する。
継続の価値を象徴する話がある。
LJLのリーグ優勝賞金は1000万円である。もちろん大金だが、1億、10億という賞金の話題が飛び交うeスポーツ業界において、5人チームで何カ月ものリーグ戦を戦い抜いての1000万円は、そこまで目を引く額ではない。
ただ重要なのは、額ではなくその扱いにある。9月16日の決勝戦の2日後、ふっと気づいてTwitterの検索窓に「DFM 1000万」と打ち込んでみた。DFMは優勝したDetonatioN FocusMeの愛称だ。ところが、そんなツイートは1件もヒットしなかった。つまり、この戦いを「1000万円を巡る戦い」だと思っていたファンは、ほとんどいなかったことになる。
この日の決勝戦はLoLが日本一強いチームを決める戦いであり、10月から始まる世界大会への出場権をかけた戦いだった。ファンはそう認識していた。これこそが、継続の価値であろう。