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清水邦広が願う盟友との「現地集合」。
石川祐希らに伝える五輪で勝つ意味。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO
posted2019/09/04 20:00
清水と福澤は同じ33歳の同級生。ライバルとしてもお互いの存在が刺激となっている。
石川も感じる、清水の影響力。
石川は、今年度の代表チームが始動した時から、「今シーズンはチームとして戦うこと以上に、個人1人1人の力で世界と勝負できる代表チームにする。個人の力を、プレー面でも精神面でもレベルアップさせる」という理想を口にしてきた。その理想の実現に向け、清水の復帰は心強い材料になったと言う。
「清水さんも、『自分がやる』『自分がなんとかする』というタイプだから。『周りになんとかしてもらう』という集団では勝てないけど、清水さんが入ったことによって、練習の質も上がっている。清水さんが出している雰囲気を見て、間違いなく周りも影響されていて、今、全員がすごくいい雰囲気、いいモチベーションで練習できているなと感じます。
僕自身も、バレーに対する姿勢だとか、勝負どころでここ1点欲しいという時に1点を取るだとか、学ぶところは多いです。ゲーム形式の練習でも、結局最後は清水さんにトスを上げて点数を取っていますから」
日本のオポジットとして、長い間、勝敗を背負ってきた清水だからこそ出せる空気がある。
「最近は全然怖くない」(高橋)
その一方で、以前よりも格段に、年下の選手との距離は縮まった。ミドルブロッカーの高橋健太郎(東レアローズ)は言う。
「前は清水さん、めっちゃ怖かったんですけど、最近は全然怖くない。僕もう付き人みたいになってます(笑)」
そこは清水自身、意識して振る舞い方を変えているのだと言う。
「以前の僕は中堅という立場で、若い選手もいたけど、僕より上の選手もいた。でも今は、僕と福澤が一番上なので、僕らが話しにくい環境を作ってしまったら、下の選手たちがやりづらいと思うので。だから僕らも若い子たちと同じ目線で、他愛ない話をしたり、お風呂にも一緒に入ったり、高橋健太郎をいじったりしながら、コミュニケーションをとっています。
そういう意味では、怖さはなくなってきたんじゃないですかね。僕は結構人見知りなんで、なかなか難しかったんですけど、それをやらないといけないと思うんで」