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清水邦広が願う盟友との「現地集合」。
石川祐希らに伝える五輪で勝つ意味。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO
posted2019/09/04 20:00
清水と福澤は同じ33歳の同級生。ライバルとしてもお互いの存在が刺激となっている。
脳裏に残る北京五輪での敗戦。
何としても生き残り、来年の東京オリンピックの舞台で、伝えなければならないことが清水にはある。
それは「オリンピックは勝たなければ意味がない」ということだ。
「やっぱり勝つことによって注目されるので。それがバレーボール人気につながり、競技人口が増えていき、バレーボール界の活性化につながる。やっぱり負けるチームを応援したいという人は、なかなかいないと思いますから。そのために僕たちは結果を残さなきゃいけない」
それは2008年の北京オリンピックで痛感したことだった。
2008年、日本は北京オリンピック世界最終予選を勝ち抜き、オリンピックの出場権を獲得した。男子にとっては実に4大会、16年ぶりのオリンピック出場だったため、当時の盛り上がりや、オリンピック開幕までの注目度の高さは相当なものだった。大学4年でメンバー入りしていた清水も、当時の盛り上がりを鮮明に覚えている。
しかし、北京オリンピックで日本は1勝もできなかった。途端に周囲の熱は去った。
戦う姿勢で伝えることが大事。
「出場が決まった時にはあれだけ期待されたけど、オリンピックで結果を残さなければ、世間は離れていってしまう。僕たち選手はそれを実感してきました。自分たちの名誉のためというのもそうですけど、一番はやっぱり、バレー界のために結果を残さなきゃいけない。
ただ出るだけでは、出てうれしいという気持ちだけでは絶対にダメだと思う。それを、僕と福澤(達哉)が一番知っていると思うので、感じたままを、若い人たちに伝えられたら。言葉で言うというより、戦う姿勢だったり、目の色を変えてやる姿だったり、そういうもので伝えることが大事なんじゃないかなと思います」
そうした使命感や、オリンピックにかける覚悟は、すでに周囲には伝わりはじめている。
エースの石川祐希(キオエネ・パドバ)は、「清水さんが加わったことで、『自分がやるんだ』という雰囲気を1人1人が持ってやれるようになっている」と語った。