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福岡堅樹は「お風呂で計算問題」。
両親が語る文武両道ラガーマンの原点。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph byKojiro Fukuoka

posted2019/08/31 20:00

福岡堅樹は「お風呂で計算問題」。両親が語る文武両道ラガーマンの原点。<Number Web> photograph by Kojiro Fukuoka

中学時代の福岡堅樹。幼少期からいい位置でパスを受けて、トライを決めることが多かったという。

父「すごいなと思いながらみています」

 浪人期間の勉強で、筑波大学医学部合格圏ギリギリのラインまで到達。しかし、残念ながら前期入試では不合格となった。その後、予備校の先生からは、少し大学のランクを落としてもう1年挑戦すれば医学部合格の可能性があるとアドバイスを受けるが、それを断った。

「(浪人していた)1年間、ラグビーができなかったことや同級生が活躍する姿に焦りを感じたんでしょうね。このままもう1年浪人したら、トップレベルでラグビーができなくなる、と考えたからだと思います」(綱二郎さん)

 後期入試では筑波大学情報学群を受験し、合格。医学部は大学が終わってからでも受け直すことができるし、出来たらそうしたい――福岡は両親へそんな自分の思いを伝えたのだった。

 あれから8年――。8月29日、W杯に挑む最終登録メンバー31人に選ばれた。さらに来年は7人制で東京オリンピック出場を狙う。ラグビー選手としての集大成と位置付ける1年を最後に、現役からきっぱりと退き、自らが決めた〝医師〟という新たな道へと歩み始める。綱二郎さんは目を細めて語る。

「わが子に対してこんな言い方をしていいのか分かりませんが、すごいなと思いながら見ています。今は心配することもほとんどありません。すべて自分で決め、それを確実にこなしている。本当に感心するばかりです」

発売中のNumberPLUS「ほぼ日と楽しむW杯! ラグビー日本代表超入門」では、ノンフィクション「福岡堅樹が描く〝医武両道〟の原風景」を掲載。『天才は親がつくる』などの著書があるノンフィクション作家の吉井妙子さんが、福岡選手の両親の初公開のエピソードなどを手がかりに異色のアスリートが生まれた環境に迫っています。今回の記事はそこで紹介できなかったお話を中心に作成したスピンオフ記事です。
「ラグビー日本代表超入門」では、その他に多様なバックグラウンドを持つ選手が集まった代表の「意義」と「強さ」についてリーチ主将が語った独占インタビューや、誰かに話したくなる小ネタ満載の日本代表選手名鑑などを掲載しています。初心者からラグビー通まで楽しめる1冊、W杯開幕を前にぜひお手にとってみてください。

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