野球善哉BACK NUMBER
高校野球の控え投手の価値を上げた。
中京学院大中京がなしとげた革命。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/08/20 17:30
中京学院大中京の継投は見事なものだった。村田翔も、ワンポイントという難しい仕事を果たした。
高校野球における控え投手の価値を上げた。
球数制限には、2番手以下の投手に登板機会が生まれる利点がある。「控え」ではなく「戦力」として扱われることによって、彼らは持てる力を存分に発揮するようになる。
全試合でリリーフを務めた赤塚はこう証言する。
「去年の夏はベンチに入ることができなかったんですけど、今年は夏の県大会から全試合で投げることができて大きな経験になりました。甲子園で自分が抑えられるのかなと思ったんですけど、強い打線と対決して自分のスタイルが貫き通すことができた。少しでも通用できたことは大きな自信になりました」
中京学院大中京は7回に逆転劇を起こすことが多く「7回の奇跡」と呼ばれた。しかしそれ以上に橋本監督が施した継投策はセンセーショナルで、控え投手の価値を上げたと言っても過言ではない。
それこそが、中京学院大中京が残したベスト4の軌跡だった。