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クビ寸前から一転、楽天の救世主。
石橋良太が育成降格から大逆襲!
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2019/07/18 07:00
明徳義塾高校、拓殖大、Hondaを経て楽天に入団した石橋良太(右)。平石洋介監督も彼の反骨心を買っている。
先発に配置転換の“勝算”とは。
活路は、確かに開かれた。
ロングリリーフとしてフル回転していた石橋は、5月5日の西武戦から先発に回った。
理由は先発陣の底上げ。チーフ投手コーチの伊藤智仁は、石橋の配置転換の理由を「苦肉の策だった」と説明した。
「ブルペンには必要なピッチャーだし、長いイニングを投げてもらうことを考えると欠かせない存在でもあるんですが、あの時期は先発が試合を作れないことが多かったもんでね。『力を貸してくれ』ということで」
この起用を決断させた背景には、もうひとつの勝算があった。伊藤の着眼点はこうだ。
「シュートとカットはいいものがありますから、リリーフならばこれだけでも通用するかもしれないけど、先発となると2種類じゃ厳しい。でも石橋は、カーブとフォークもいいものをもっていたんでね」
石橋自身も、先発に転向してから投球スタイルを変えたことを認めている。とりわけ、緩急をつけるためにカーブを有効活用できていることが、ローテーション投手として回れている要因だと自己分析している。
「何でもやる、生き残る! それだけ」
リリーフから先発へ。石橋の野球人生は、今やチームから全幅の信頼を得るまでに、大幅に軌道修正された。
だが、根底がブレることはない。
石橋が、当然だと言わんばかりに強調する。
「何でもやる! 生き残る! 自分の気持ちを言うとしたら、それだけですよ」