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クビ寸前から一転、楽天の救世主。
石橋良太が育成降格から大逆襲!
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2019/07/18 07:00
明徳義塾高校、拓殖大、Hondaを経て楽天に入団した石橋良太(右)。平石洋介監督も彼の反骨心を買っている。
「ビビったら使わんぞ!」
春季キャンプ。二軍スタートだった石橋は途中から一軍に合流した。オープン戦でも中継ぎとして5試合に登板し防御率1.69。その覚悟と武器で、開幕一軍切符を掴んだ。
3年ぶりとなった一軍マウンド。石橋は打たれたが、逃げなかった。
開幕戦。2点リードの6回に4番手として登板した。2死一、二塁。ピンチで迎えたブランドン・レアードの懐をえぐり、打ち取るはずだったシュートを捉えられる。チームは逆転され、石橋は敗戦投手となった。
それでも崖っぷち男は、後ずさりすることなく前に歩を進める。
試合後、石橋は「1時間、思いっきり反省した」という。鼓膜を刺激し、覚悟を胸に刻ませ、高いモチベーションを持続させるのは、日頃から言われ続ける平石監督の檄だ。
「ビビったら使わんぞ!」
この試合でもビビらず、投げた。結果、手痛い一発を浴びたが、動揺はない。しばらくすると、平石監督から声をかけられた。
「気持ちの切り替えはできたか?」
無論、反省はした。覚悟も不変だ。
レアードに雪辱し、プロ初勝利。
開幕戦から2日後のロッテ戦。石橋はリベンジを果たした。3回途中からマウンドに上がる。2点リードの5回、1死一塁と一発を許せば同点とされる場面で、レアードをセカンドフライに打ち取った。決め球は、心中すると誓ったシュートだった。
「今日は石橋でしょ」
試合後、平石監督の声が弾む。
石橋は2回2/3を無失点に抑え、プロ初勝利を飾った。報道陣に囲まれた殊勲者が、自分に言い聞かせるように、心情を綴った。
「またチャンスをいただけたんで、とにかくビビらないようにと。レアードには前もシュートを打たれたから、今日もシュートを思い切り放ってやろうと思っていました。これからも登板の機会をいただけたなら、一喜一憂せずしっかり投げていきたいです」