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クビ寸前から一転、楽天の救世主。
石橋良太が育成降格から大逆襲!
posted2019/07/18 07:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
楽天の平石洋介監督は、前半戦の収穫について「去年いなかった選手が出てきてくれた」と、新戦力の台頭を真っ先に挙げていた。
投手で言えば、それは4年目の石橋良太をおいて他にはいないだろう。
前半戦はチーム3位の4勝。中継ぎからスタートし、今や先発ローテーションの一角を担う。昨年に腰を手術した塩見貴洋が出遅れ、3月には則本昂大も右ひじを手術。開幕戦で岸孝之が左太もも裏に違和感を訴え離脱と、平石監督が「どうなることやら……」と頭を抱えるなか、窮状を救ったのが石橋だった。
奮闘とは裏腹に、前半戦の救世主が胸の内をこう漏らす。
「今年はないものと思っていたんで」
支配下に返り咲いた中での不安。
石橋は一度、“クビ”になっている。
ドラフトでは支配下選手として楽天に入団したが、2年目のオフには育成選手として再契約を結んでいる。3年目の昨年は二軍での好投が評価され支配下に返り咲いたものの、一軍登板は叶わなかった。
昨年のシーズンが終了した時点で、石橋は戦力外を覚悟していたという。
「だって、支配下から育成になって、また支配下になって一軍で活躍している選手ってほとんどいないじゃないですか。僕は見たことがないんで。だから、育成になった時からずっとそういう悩みは抱えていました」
故障が原因での育成契約なら、完治すれば復活の場を与えられるだろう。
だが、実力で降格した選手の未来は、実際のところ暗い。
「楽しんでやろう」
悩める石橋に前向きな姿勢を示してくれたのは、彼と同じタイミングで育成選手となった久保裕也だった。