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余裕がないと得点は決め切れない?
日本サッカーに欲しい「遊び」。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byJFA/AFLO
posted2019/06/26 11:30
前田大然には圧倒的なスピードという武器がある。そこに“余裕”というエッセンスを加えられるか。
「死ぬほどボールで遊んだんだな」
いつもの決め切れないゲームを見て思うのは、日本のサッカーには「遊び」の精神が欠けているということだ。
私はブラジルに来る前、時差調整を兼ねてイタリアを10日間旅したが、週末の公園では日が暮れるまで子どもから大人まで、いろんなルーツの人たちがサッカーに興じていた。
例えばフィレンツェの公園には、イタリア人はもちろん、日本人、スペイン人、ブラジル人など、さまざまなルーツの人々が入れ代わり立ち代わりやって来て勝負をする。その中でもブラジル人親子はめっぽう上手く、あの手この手を使って敵をおちょくろうとする。とにかく遊んでいるのだ。
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そしてイタリア人も、素晴らしいプレーが飛び出すたびに、「あいつは死ぬほどトレーニングしたんだな」とは言ったりせず、「あいつは死ぬほどボールで遊んだんだな」と感心するのだそうだ。
遊ぶヤツほど上手くなる、というサッカーの本質を知っているのだろう。
メディアセンターで無邪気に……。
日本の選手たちはそれなりに上手く、よく走り、最後までがんばるのだが、残念ながら「こいつはよく遊んだんだな」と感心することはない。
だがこれは、私たちの国民性でもあるのだろう。選手に限った話ではない。
ブラジルに来て改めて実感するのは、私たち日本人が生まじめだということだ。
この日も大勢の記者、カメラマンがいるメディアセンターで、ブラジル人たちが「日本人のみんなと集合写真を撮りたい!」と無邪気に騒ぎ出した。私はその場にいなかったが、日本人の多くは仕方なく付き合っていたらしい。
まじめに仕事を遂行しようとする日本人と、遊びながら仕事をしようとするブラジル人。決め切る、決め切れない問題の分岐点は、意外と身近なところにあるのかもしれない。