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甲子園の応援がコンサートになった!?
「ブラバン!甲子園ライブ」誕生秘話。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byKYODO TOKYO

posted2019/06/24 08:00

甲子園の応援がコンサートになった!?「ブラバン!甲子園ライブ」誕生秘話。<Number Web> photograph by KYODO TOKYO

舞台一杯に広がった吹奏楽、応援団などの出演者たち。観客と一体化した盛り上がりは、尋常ではない興奮を呼ぶ。

トークの内容も工夫を凝らして……。

 このイベントでのトークの内容は、各校の先生方に事前にヒアリングし、台本とまではいかないまでも、かなり作り込んでいる。ただ、「こういう内容の質問を振ってもいいですか?」と前もって確認はするが、当日はフリートークで自由にお話いただく、というスタイルだ。

 これまで2回の経験から、観客は吹奏楽ファンというよりも完全に野球ファンが多いため、彼らに喜んでもらえそうな、選手や監督の話を豊富に盛り込むように心がけている。先生によっては「野球部や監督とはほとんど接点がなく、あまり話せない」というケースもあるが、今回は4校すべての先生が大の野球好きでとても詳しいということもあり、プロ入りした選手の高校時代の話や監督のエピソードなど、たっぷり話していただくことができた。

スター選手の高校時代のエピソードを満載!

 たとえば、東海大相模だと矢島氏が担任を務めた小笠原慎之介(中日ドラゴンズ)、横浜は立石氏が全野球部員に音楽の授業を教えているため、松坂大輔(中日ドラゴンズ)、筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)、日大三は坂倉将吾(広島東洋カープ)、高山俊(阪神タイガース)、習志野は福浦和也(千葉ロッテマリーンズ)の高校時代のエピソードなどを話してもらう、といった具合だ。

 東海大相模と横浜は、共通の応援曲に『鉄腕アトム』がある。知り合いの編集者から、「アトムの作曲者である高井達雄先生と交流があり、コンサートを観てもらいたいので、一緒に行きます」と連絡があったのだが、「大変貴重な機会なので、ぜひステージで主題歌の誕生秘話をお話ししていただけないか」と相談したところ、うれしいことに快諾していただけた。

「実は今日、会場に『鉄腕アトム』作曲者の高井達雄先生がいらしています!」とMCを務める筆者が話すと、会場は騒然。ステージに上がっていただき、「手塚治虫先生から『世界で歌われるような曲を』とリクエストがあった」「アトムは空を飛ぶので、上がっていく曲調にした」といった貴重なお話に、司会をしながら胸がいっぱいだった。

 86歳とご高齢ながらもしっかりとした口調でエピソードを話してくださり、せっかくなので、相模と横浜のアトムを聴き比べてみることに。

 相模は冒頭の8小節+「フレー フレー 東海」というコール。

 対する横浜は「Y・O・K・O・K・O! 横高」というコールから始まり、相模の倍の16小節を演奏。

 同じ曲でもアレンジや掛け声が違うので、まるで別物のように感じる。高井氏は、女子生徒の吹奏楽部員が多い相模のアトムを、「エレガント」、男子校である横浜のアトムは、「男の子らしく、とても元気のいい演奏」と評した。

【次ページ】 応援曲を演奏するだけのコンサートではない!

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