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伝統のル・マンでTOYOTAが、
2年連続1-2フィニッシュ。

posted2019/06/19 11:42

 
伝統のル・マンでTOYOTAが、2年連続1-2フィニッシュ。<Number Web> photograph by TOYOTA

総合優勝した8号車の中嶋(右)/ブエミ(右から2人目)/アロンソ(右から3人目)。左端は村田チーム代表。

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大串信

大串信Makoto Ogushi

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「コンペティターがいるからモチベーションを保てるなんて考えたこともありません。自分たちが目指しているところにたどりつけるかどうかがゴールなんです」と、村田久武TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表は言った。

 2019年のル・マン24時間レースで、TOYOTA GAZOO Racingは2年連続優勝を飾った。予選で1-2、決勝も1-2と、6月9日の公式車検から始まったレースウィークを通じ、ライバルをまったく寄せ付けない完全制圧であった。

 レースは、ポールポジションを獲得した7号車マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組がレース後半にトップの座を固め、それを8号車セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組が同一周回で追いかけながら、他車を次々周回遅れにしていくという展開となった。

 フィニッシュまで1時間となったとき、7号車にタイヤのパンクという一時的なトラブルが発生。予定外のピットストップを強いられて順位は逆転したが、1-2体制が揺らぐことはなく、8号車、7号車の順でチェッカーフラッグを受けた。

「ル・マンでは女神が勝者を選ぶ」

 傍観者は身勝手なものだ。悲願の初優勝を祝福してから1年、今年のル・マンに向けては、「優勝することを知ったTOYOTAに釣り合うメーカーワークスチームがいない今年は、勝って当然ではないか」と、空気はどこか冷え気味だった。しかしTOYOTAは連覇に向けて昨年にも増して準備を整えていた。

 村田チーム代表は語る。

「ル・マンでは、女神が勝者を選ぶんだそうですよ。自分から勝とうとしても勝てないレースだということです。24時間の間にはいろんなことが起きます。ル・マンは自分の都合、計算、尺度で臨むレースではないんです。ぼくは自分との闘いなんだと思っています」

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