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DVでの出場停止から復帰した同僚を
迎え入れたカブスとダルビッシュ。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/05/18 11:30

DVでの出場停止から復帰した同僚を迎え入れたカブスとダルビッシュ。<Number Web> photograph by AFLO

アディソン・ラッセルはメジャーに帰ってきた。自分にできることをする、それが彼の唯一の選択肢なのだ。

カブス再建を託されて移籍。

 当時20歳のラッセルの第一印象は、日本風に言うと「イカリ肩」。見事なほどの「逆三角形」の体躯だった。

 ミッドランドの当時のアーロン・ニークラ監督曰く、「信じられないほど守備範囲が広く、肩も強い。ある意味、伝統的なショートストップだ」という有望な新人である。

 試合後、そのニークラ監督に会いに行こうとすると、監督室のドアが閉ざされていた。聞けば、そのラッセルがカブスにトレードされ、たった今、その通達をしている真っ最中だという。

 正確には、当時ア・リーグのワイルドカード争いをしていたアスレチックスが、カブスから2人の先発投手、ジェフ・サマージャ(現ジャイアンツ)とジェイソン・ハメル(現ロイヤルズ)を補強。その交換要員の1人にして、最大の目玉がラッセルだった。

 ラッセルは移籍直後から、2011年のドラフト1巡目(全体9位)指名のハビアー・バイエズ内野手、2012年のトレードで獲得したメジャーリーグの新鋭だったアンソニー・リゾ一塁手とマイナーリーガーのカイル・ヘンドリックス投手、2013年のドラフト1巡目(全体2位)指名のクリス・ブライアント内野手、2014年のドラフト1巡目(全体4位)指名のカイル・シュワバー捕手(現外野手)らと共に「カブス再建の中心」を担う選手として期待された。

DVに対するアメリカの視線は厳しい。

 カブスの思惑通り、ラッセルは移籍から1年後の2015年にメジャー・デビューを果たし、2016年には初のオールスターゲームに選出され、キャリア最多の21本塁打を記録するなどしてカブスの108年ぶりのワールドシリーズ優勝に貢献した。

 ところが2017年の6月、当時の妻への家庭内暴力が表面化した。それが原因で、後に離婚している。当初はメジャーリーグ機構の介入を拒否していたが、元妻への調査が終了した昨年9月から40試合の出場停止処分が下された。

 Domestic Violence=家庭内暴力(以下DV)。日本でも社会問題となっているDVに対するアメリカ市民の視線は、とても厳しい。

 1990年代の後半から、家庭内、とりわけ夫による妻や子供に対する暴力はアメリカの社会でどんどん大きな問題になり、昨今、日本で話題になったようなスポーツの「パワハラ」問題にも似た形で、大きなニュースとして取り上げられるようになった。

【次ページ】 メジャーリーグ機構は厳罰姿勢を打ち出す。

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