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リバプール悲願のタイトル奪取へ。
鍵を握る「ハマン」的な仕事人MF。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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photograph byGetty Images

posted2019/04/15 11:15

リバプール悲願のタイトル奪取へ。鍵を握る「ハマン」的な仕事人MF。<Number Web> photograph by Getty Images

04-05シーズン、ミランとのCL決勝。途中出場で「奇跡」と呼ばれた逆転勝利に貢献したリバプールのディートマー・ハマン。

ミランとの決勝でベンチスタート。

 コップ(リバプールの熱狂的なファン)から“ディディ”の愛称で親しまれたドイツ人MFは、'99年夏にニューカッスルから加入。ジェラール・ウリエ監督の信頼を掴み、'00-01シーズンのカップ3冠などに尽力した。

 エリア外から強烈なシュートを叩き込むなど、時おり攻撃でも眩い輝きを放っていたが、やはり攻守のバランサーとしての堅実なプレーが強く印象に残る。

 そのハマン自身が「キャリア最高の瞬間」と振り返るのが、ミランをPK戦の末に破ったあのCLファイナル。そう、イスタンブールの奇跡だ。ラファエル・ベニテス監督の攻撃的な布陣で臨む(ハリー・キューウェルの起用)との判断から、この日のハマンはベンチスタートとなった。本人が「スタメンのつもりだったから驚いた」と振り返るチョイスだった。

 ベニテスのこのハマン外しは裏目に出る。リスク管理に長ける当時31歳のベテランがいない中盤にスペースが生まれ、ミランのトップ下であるカカを自由にしすぎたのだ。

 ブラジル人クラックが躍動する相手の攻撃を止められず、チームは前半だけで3失点を喫する。2シーズンぶりの優勝に王手をかけたミランに対し、下馬評の低いリバプールの命運は尽きたかと思われた。

「ハマンを出せば、変わる」

 その瞬間をよく覚えている。テレビの前でリバプールファンになりたての友人から「どうすればいい」と嘆かれ、僕は「ハマンを出せば、変わる」と答えた。

 当時はドイツサッカー贔屓のいちファンに過ぎなかったが、素人目からもハマン不在の影響は明らかだったのだ。当然ながら、智将ベニテスが気づかないはずがない。後半、ついにハマンがピッチに送り出された。

 理由はDFスティーブ・フィナンの負傷によるものだが、ハマンがカカに睨みを利かすことで守備が安定したリバプールは、ここから怒涛の反撃を繰り広げる。

 54分にジェラードが、56分にウラジミール・スミチェルが、そして60分にシャビ・アロンソがゴールを挙げ、わずか6分間で試合を振り出しに戻したのだ。選手の誰もが意気消沈していたハーフタイムも、決して諦めずにチャントを歌っていたコップは歓喜を爆発させた。

【次ページ】 実は中足骨を骨折していた。

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