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スター誕生! フェラーリの21歳。
ルクレールがF1王者2人を圧倒。
posted2019/04/07 09:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AFLO
F1今季第2戦、バーレーンGPで新たなスターが誕生した。今年からフェラーリに移籍したシャルル・ルクレールだ。
1997年10月16日生まれの21歳。ルクレールが魅せたのは、まず予選だった。Q1からQ3すべてのピリオドでタイムシートのトップに立ち、フェラーリ移籍後わずか2戦目で、チームメートであり、元チャンピオンのセバスチャン・ベッテルを抑えてポールポジションを獲得したのだ。
圧巻だったのは、予選で最後のピリオドとなるQ3でのアタックだった。1回目のアタックで暫定トップに立ったルクレールが出した1分27秒958は、昨年ベッテルが記録したポールタイムかつコースレコードと同タイム。
2回目のアタックではベッテルが1分28秒台にとどまったのに対して、自己ベストを更新する1分27秒866を叩き出し、ベッテルからポールポジションだけでなく保持していたコースレコードをも奪ってみせた。
21歳165日でのポールは、'08年にベッテルがイタリアGPで樹立した史上最年少記録の21歳72日に次ぐ2番目の若さ。若さではベッテルの記録を破れなかったルクレールだが、速さでは、翌日の決勝でも今やチームメートとなったベッテルを堂々と上回ってみせた。
ベッテルとハミルトンを従えて。
レースでは、スタート直後こそベッテルの後塵を拝するものの、6周目にコース上でオーバーテイクしてトップの座を実力で取り戻すことに成功。その後はベッテルだけでなく、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を含めた2人の王者を従えて、レースを完璧にコントロールしていく。
しかしレース後半、予期せぬトラブルがルクレールを襲う。エンジンにトラブルが発生し、スローダウンを余儀なくされたのだ。残り10周でなす術なくハミルトンにオーバーテイクされ、F1初優勝を逃したルクレール。心が折れそうな状況にもかかわらず、チェッカーフラッグを目指してアクセルを踏み続ける姿に、世界中のファンが胸を熱くした。