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「F1大阪GP」開催の可能性は?
実現すれば日本初の公道レース。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2019/02/25 08:00
F1公道レースと言えばモナコが代表格。F1世界選手権発足以来、同じコースで開催され続けている。
世界の潮流は公道レース。
公道を利用した自動車競技にはラリーもあり、'04年から数年間、北海道で世界ラリー選手権が開催されたこともあった。
ラリー以外でもヒストリックカーレースが何度か公道で行われているものの、いずれも1台ずつ走行してタイムを競うルールとなっており、複数のマシンがコース上でバトルを繰り広げるレースが、日本の一般の公道(舗装路)で開催された歴史はない。
だが世界の潮流はいま、公道レースとなっている。F1での公道レースといえば、世界三大レースのひとつでもあるモナコGPが有名だが、公道を利用して行われているレースはそれ以外にも多い。
アルバートパーク・サーキット(オーストラリアGP)、バクー・シティ・サーキット(アゼルバイジャンGP)、サーキット・ジル・ビルヌーブ(カナダGP)、マリーナ・ベイ・ストリート・サーキット(シンガポールGP)、ソチ・オートドローム(ロシアGP)がそうだ。
かつてはベルギーGPが行われるスパ・フランコルシャン・サーキットも3分の2は公道を利用していた。さらに'20年に開催される予定のベトナムGPも、ハノイの市街地コースで行われることになっている。
鈴鹿との棲み分けをどうする?
大阪の夢洲はもともと物流倉庫の大規模集積地化を進めるために造られた人工島で、居住地域はない。もちろん安全を優先し、隣接する周辺地域への騒音に配慮することは当然の責務だが、世界有数の自動車輸出大国の日本で、公道レースが実現不可能な理由はどこにも見つからない。
むしろ、大阪でF1を開催するために課題となるのは、現在、三重県鈴鹿市で開催されている日本GPとの棲み分けだろう。
F1には「1カ国1開催」という原則がある。大阪が日本GPを開催すれば、鈴鹿でのF1は消滅する。鈴鹿は日本人だけでなく、いまでは世界のモータースポーツファンからも愛されている聖地でもある。お金に物を言わせて、開催権を奪い取ることは得策ではない。