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格闘技界に功績を残した黒澤浩樹の突然の訃報。~極真空手を具現化したような、ストイックな男~
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2017/04/23 17:00
格闘技界に大きな影響を与えた黒澤の急逝に、極真会館やRIZINなど各団体代表から哀悼の意が捧げられた。
最後のニホンオオカミが逝った。黒澤浩樹、享年54。昨年ヒザの手術をしてリハビリに励んでいる最中、急性心不全で天国に旅立ってしまったのだ。
天国と地獄を行ったり来たりの現役生活だった。'84年開催の極真会館主催・第16回全日本選手権では破壊力抜群の下段回し蹴りを武器に初出場初優勝という偉業を果たしたかと思えば、2年後の第18回同選手権では2回戦で無名選手の飛びヒザ蹴りでまさかの一本負けを喫し周囲を唖然とさせた。
どんな窮地に追い込まれても、最後まで弱音は吐かない。黒澤はそんな極真魂を具現化した空手家だった。'87年の第4回世界選手権では5回戦で“喧嘩屋”ピーター・スミットと激闘を繰り広げ、延長3回の末優勢勝ち。すでに2回戦で足の指を骨折していた代償は大きく、試合後黒澤は病院に直行した。