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小クラブ・エイバルが進めるシンデレラ的“町おこし”。~ビッグクラブとは異なる世界戦略とは~
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byDaisuke Nakashima
posted2015/10/16 08:00
5200人収容の小さなスタジアムは、試合のたびに臙脂と青のチームカラーで染まっている。
バスク地方の小クラブ、エイバルの名が急速に世界に広まりつつある。
エイバルがスペイン1部リーグを戦うのは、昨季に続き2年目のこと。バルセロナやレアル・マドリーら有名クラブとの試合は、数年前まではスペイン人でさえ知らなかった人口2万7000人の町のチームの存在を世界に知らしめた。
今季も序盤戦の予想外の活躍が話題となった。昨季に続き、クラブは「他クラブが調子を上げる前にできるだけ勝ち点を」という先行逃げ切り作戦を徹底。シーズン全体を見通したコンディショニングではなく、最初の数カ月にピークを持ってくる独自のアプローチだ。後半戦など考えず死に物狂いで走るその勢いは「現リーガで最もインテンシティの高いチーム」(カナル・プルス)とされ、短期間だが史上初めてリーガ首位にも立った。