ブックソムリエ ~必読!オールタイムベスト~BACK NUMBER
激しい展開の中にもユーモア。時代を越えた冒険記録の名著。~ジンベイザメは馬鹿みたい、鯨はいとこ~
text by
馬立勝Masaru Madate
photograph bySports Graphic Number
posted2017/08/08 07:00
『コン・ティキ号探検記』トール・ヘイエルダール著 水口志計夫訳 河出文庫 850円+税
元気の出る本がある。それが本書だ。初めて読んだのは中学生の頃、とても面白くてつい、夢中になった。それから半世紀、いまも適当にページを開き、拾い読みするだけでワクワクしてしまう。まさに、時を越えた冒険記録の傑作だ。
第二次大戦が終結して2年後の1947年。ノルウェーの人類学者ヘイエルダールと個性豊かな5人の仲間、1羽のオウムが、インカ帝国の太陽神の名を付けた筏コン・ティキ号で南米ペルーを出発する。南赤道海流に従って西に進み、南太平洋のツアモツ諸島の環礁に座礁、到着するまでの101日間の漂流記だ。