沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
藤田菜七子のフェブラリーSやいかに。
女性騎手誕生から23年目の大挑戦。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/02/16 09:00
藤田菜七子とコパノキッキングが勝利すれば、日本競馬界にとっての画期となるが果たして。
引いたのは注文通りの外枠。
競走馬がベストより長いところで好結果を出すとき、もっともよくあるのは、スローな流れのなかで脚を溜め、最後の瞬発力勝負で抜け出すパターンである。
しかし、フェブラリーステークスはハイペースになる傾向があり、その消耗戦で差し馬が台頭する形が多い。
いずれにしても、序盤は脚を溜めて、直線で勝負という競馬になるだろう。
オーナーが繰り返し「外枠がほしい」と言っていたら、見事に7枠11番を引いた。あまり得意ではない芝コース上からのスタートなので、ゲートを出て少しの間は自然とゆっくりした走りになり、内の馬たちを先に行かせて、望む形に持ち込みやすい。
武、ルメール、デムーロの馬も強い。
立ちはだかる相手も強い。
1番人気になるのは、前走、6連勝で東海ステークスを勝った武豊のインティ(牡5歳、父ケイムホーム、栗東・野中賢二厩舎)か。東京コースもダート1600mも未経験だが、コパノキッキングと逆で、距離を縮めてここに来る形なので、不安は少ない。おそらくハナを切るか、そうならなくても2、3番手からレースをすることになるだろう。逃げる武を藤田が追う、という展開になりそうだ。
一昨年の覇者ゴールドドリーム(牡6歳、父ゴールドアリュール、栗東・平田修厩舎)は、昨年も2着と好走している。東京ダート1600mでは5戦して3着以下になったことがない安定ぶり。鞍上のクリストフ・ルメールもこれが5戦目なので、もう完全に特徴をつかんでいるだろう。リピーターが活躍しやすいレースだけに、やはり怖い。
コパノキッキングと同じ「強い4歳世代」のオメガパフューム(牡4歳、父スウェプトオーヴァーボード、栗東・安田翔伍厩舎)も勢いがある。前走の東京大賞典でゴールドドリームを2着に下してGI初制覇。鞍上が、このレースを2勝しているミルコ・デムーロというのも強調材料になる。
昨年、南部杯とチャンピオンズカップを圧勝してダート王となったルヴァンスレーヴがいないだけに、ここに記したどの馬にも勝つチャンスがある。