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香川真司「周りがいくら騒ごうが」
熱狂のベシクタシュで今思うこと。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2019/02/14 11:00
ホーム初戦で香川は得点に絡めなかったが得意のターンで攻撃のリズムを作った。ファンの期待も日ごとに高まっているようだ。
年末に漏らしていた思い。
思えば昨年末、羽田空港に帰国した香川はこんなことを漏らしていた。
「言うたら、構想外……。なかなか競争ができない、したくてもできない状況が続いて、それは非常に長く感じます。この3カ月を通しても身体は万全なのに、なかなか、そこに加わらせてくれない。(主力として)考えられていないというのは非常に屈辱的だった。練習もロクにできない状況もたくさんありましたし、悔しい気持ちを常に抱えながら、この3カ月、暮らしていました」
そういう状況に置かれたのは、ドルトムントで優等生として過ごすのではなく、スペインでプレーしたいという夢があると公言したからに他ならない。そんな思いを表に出した代償は小さくなかった。
だが、自らの希望を公言したのは、自分に嘘をつきたくなかったからである。いつかキャリアに幕を閉じるときに、幸せなサッカー人生だと子どもたちに胸を張れるように生きるためでもある。何より、サッカー選手として成長したいからこそだった。
あくまで結果を残すために。
香川は現在、ドルトムントからベシクタシュへ、今季末までレンタル移籍中の身である。ただ、今季終了後に一定額をドルトムントに支払えばベシクタシュ所属になる、いわゆる「買い取りオプション」が存在しないとベシクタシュ幹部が明かしている。
そしてドルトムントとの契約は来季終了まで。ヨーロッパでの移籍の慣例を考えても、買い取りオプションのない香川が来シーズン以降もベシクタシュに残る可能性は大きくない。
では、香川はベシクタシュで何を証明しないといけないのか。それはチームのために、1つでも多くのゴールを生み出すことに他ならない。
「今の環境は非常にありがたいですし、これだけの歓迎を受けることは当たり前ではない。ただ、そんな優しさであったり、リスペクトを受けるために来たのではなくて、あくまで結果を残すために来たのでね」
結果を残すことは、ヨーロッパで活躍する実力があることの証明になる。それが証明できて初めて、香川の望む未来は開けてくるのだ。