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棚橋弘至IWGP王座初防衛に失敗!
新王者は26歳のスイッチブレイド。
posted2019/02/12 12:30
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
ピンフォール負けだった。IWGPヘビー級王者・棚橋弘至は挑戦者ジェイ・ホワイトに3カウントを奪われてしまった。
ホワイトはセオリー通りに棚橋の痛めている右ヒザに狙いを絞って執拗な足殺しで王者を追い詰めていった。
「たしかに2012年と今をくらべたら、コンディションがよくないところはある。あるけれど、自分の体っていうのは、ケガをしていても、いとおしいんだよね。毎回、よく頑張ってくれたって、体に感謝しています。
プロレスの先輩たちもみんなプロレスに体を捧げて、このジャンルを守ってきてくれた。だから、この身がどうなろうと、むしろ勲章だと思っている。心配は無用です」
こう語っていた棚橋だったが、結局、心配は心配を超えてしまったことになる。
ファンの祈りも棚橋に届かず……。
2月11日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)はファンの悲鳴のような叫びに包まれていた。
2月2日の札幌での前哨戦で棚橋は、ホワイトが繰り出した裏足4の字固めに耐え切れずギブアップした。この大阪に備えてダメージを残さないための選択という見方もできたが、屈辱的なギブアップであったことは事実だ。
裏足4の字固めは“TTO(TANA TAP OUT)”とホワイトが命名した技だが「もうかかることはない」と棚橋は言っていたのに、またしても、同じ技が棚橋を苦しめた。
棚橋はホワイトの裏足4の字地獄に捕らえられて苦悶していた。
ファンの祈りのような棚橋コールは棚橋の耳には達していたが、もう体にそれを受け入れる余裕が残っていなかったのだろう。
棚橋は右ヒザの痛みをこらえて、場外にも飛んだし、ホワイトがどんな体勢でいようが構わずにハイフライフローを繰り出した。背中でも構わなかった。
だが、とどめのハイフライフローは功を奏せず、ホワイトのスイング技であるブレードランナーに捕らえられて3カウントを奪われてしまった。