マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
12球団の監督・コーチ陣でチームを
作る遊びから見えてくる「真実」。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/01/20 11:00
原監督を筆頭に、巨人の指導者陣は顔ぶれも豪華。野手も投手もスターが並ぶ。
守りは鉄壁の西武指導陣チーム。
「野球ファン」というのは、なんと面白い“遊び”を考えつくものなのか。
今夜は、ごひいきの球団の「首脳陣」を勝手に選手に置き換えて、勝手にスターティングメンバーを作って遊んでみよう。
そんな提案が熱く支持されて、夢のスターティングメンバー作りを「酒のさかな」に、野球ファンたちの宴が始まった。
まず、パ・リーグ優勝の「埼玉西武ライオンズ」。
まさかのクライマックスシリーズ敗退で涙の謝罪となった辻発彦監督をはじめ、二軍監督に楽天から復帰した松井稼頭央がいて、「ここは面白いぞ」ととりかかってみたら、こんなことになった。
1番 DH 平尾博詞(二軍・打撃内野守備走塁)
2番 二塁手 辻発彦(一軍・監督)
3番 中堅手 松井稼頭央(二軍・監督)
4番 一塁手 嶋重宣(二軍・打撃外野守備)
5番 左翼手 佐藤友亮(一軍・外野守備走塁)
6番 遊撃手 阿部真宏(一軍・打撃走塁)
7番 右翼手 赤田将吾(一軍・打撃)
8番 三塁手 馬場敏史(一軍・作戦内野守備走塁)
9番 捕手 秋元宏作(一軍・バッテリー)
投手 西口文也(一軍・投手)
「こりゃあ、守りは鉄壁だな……」
「ひっくり返して言えば、貧打線。下位が弱い」
「いやいや、そのぶん、投手陣が強力。小野和義(一軍・投手)に杉山賢人(二軍・投手)…したたか左腕が2枚はものすごいアドバンテージ。これで、フロントにまわった潮崎哲也がいたら、ジャイアンツと真っ向から組める投手陣だったのに」
松井稼頭央のポジションで揉める。
実は、先頭からの3人で、えらくもめた。
私を入れて6人の集まりだったのだが、「1番・松井稼頭央、2番・辻発彦」の1、2番コンビにどうしてもこだわりたい! そういう“声”が3人。
さらには、「遊撃手・松井稼頭央じゃなかったら松井稼頭央じゃない!」この主張は強硬だった。4人がそこから動かなかったので、議論は紛糾した。
テーブルの上は、ちょうど“とりあえず”のビールから、それぞれ酎ハイ、お湯割り、ハイボール……強いお酒に変わった当座で、各人かなりメーターが上がっている。
わかったここは譲ろう、そんな人が、なかなか出てこない。最後は、私が行司役になって、どう考えても3番の適役がいない現状に鑑み、順番をひっくり返して「辻、松井コンビ」で我慢していただき、「遊撃手問題」については、松井稼頭央のようなきらびやかなプレースタイルではなかったが、近鉄当時の阿部真宏遊撃手の、スーパープレーはなくてもなかなかエラーしない確かなフィールディングが、いかに投手陣の静かな信頼を得ていたか……そのへんを説明させていただいて、上記のようなスターティングメンバーに落ち着いた次第。
おそらくは、会ったことも、言葉を交わしたこともないはずの「赤の他人」のために、自分のこと以上に熱く、激しく、その選手を支持する。ファンとは、こんなにもありがたいものであるのか。